ニンジンの出芽に対する数種の播種前種子処理の効果
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概要
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ニンジンの出芽に対する, 数種の播種前種子処理の効果を比較検討した. 検討した播種前種子処理は, 浸種, プライミング, 催芽, プライミング+催芽の4処理であった. 低温期 (12〜3月) 及び高温期 (9月) に, 無加温のハウス内で昼温あるいは土壌水分条件を変え, ポットに播種して, 5回実験を行なった.1. 出芽率は, 低温期に昼温あるいは土壌水分が低い場合, 及び高温期に土壌水分の低下が早かった場合, すべての播種前種子処理により向上した. 低温期は, プライミングおよびプライミング+催芽の効果が特に高く, 高温期は, プライミング, 催芽, プライミング+催芽の効果が同様に高かった. 浸種の効果は他の処理より低い場合が多かった.2. 出芽開始は, 低, 高温期とも, プライミング種子が浸種種子より早く, また, 低温期に土壌水分が低い場合, プライミング+催芽種子が催芽種子より早かった. これらのことから, プライミングにより, 幼根あるいは幼芽の生長が促進されることが示唆された.3. 平均出芽所要日数は, いずれの播種前種子処理によっても, すべての場合に短縮された. 平均出芽所要日数短縮の効果は, プライミング+催芽が最も高く, 次に, プライミング及び催芽が同様に高く, 浸種の効果は他の処理より明らかに低かった.4. 出芽のばらつきは, 播種前種子処理により小さくなる場合もあったが, 逆に大きくなる場合もあり, 播種前種子処理により出芽のばらつきを小さくする, 一貫した効果は認められなかった.5. 出芽率の向上及び平均出芽所要日数の短縮という二つの効果から判断すると, 比較的気温が低い時期にはプライミング+催芽が, 比較的気温が高い時期にはプライミングが, それぞれ有効な播種前種子処理と考えられた.
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