数種野菜種子のプライミングにおける塩類溶液の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
野菜種子を塩溶液でプラィミングする方法を検討するため, ニンジン及び数種野菜の種子における, 塩の種類と処理条件の影響を比較した結果, K3PO4などの第三リン酸塩の有効性を見いだしその使用条件を示した.1. ニンジン種子において, KNO3, K3PO4, MgCl2•6H2O, NaCl, NaNO3の5種塩は-10barsで比較した場合, 処理期間が適当であればプライミング効果に大差はなかった. K3PO4ではプライミング処理中の発芽が抑制され, 処理期間が長くなっても効果が比較的高く維持された.2. Na3PO4•12H2Oも同様な効果を有し, 第三リン酸塩としての性質がその有効性に重要であることが明らかになった.3. ニンジン種子を供試し, K3PO4とNaClを用いたプライミング処理時の温度, 浸透ポテンシャル, 処理期間の影響について調べた結果, プライミング効果の高い浸透ポテンシャルは, K3PO4では-7.5barsで一定であったが, NaClでは処理温度•期間により-7.5barsから-12.5barsまで変動した.4. ナス, ミツバ, ネギ, ホウレンソウ, ゴボウの5種野菜の種子においても, プライミング処理中の発芽はNaClよりK3PO4により明らかに抑制された. ナス及びゴボウ種子においても, プライミング効果が高い浸透ポテンシャルは. K3PO4では一定であったがNaClでは処理期間により変動した. ミツバ, ネギ, ゴボウ種子において, プライミング効果が高く維持される処理期間の範囲は, NaClに比べK3PO4の方が広かった.5. 第三リン酸塩の効果には溶液の高いpHが関与していると推察された. また第三リン酸塩は有効な浸透ポテンシャルの範囲が一定しており, 処理期間の許容範囲も広いので, 多種類の野菜種子のプライミングにおいて有望な塩であると考えられる.
著者
関連論文
- 100 ナタネの花軸から採種した篩管・導管液の糖、アミノ酸濃度の日変化
- 数種作物における栽培種・野生種の収量について
- 17 イネ1穂頴花数と, 穎花分化期の幼穂および葉身中の糖・窒素含有率との関係
- イネ1穂穎花数に対するジベレリン(GA_3)投与効果の品種間差異
- イネ品種における1穂穎花数と茎葉形質および幼穂分化期の生長点付近の大きさとの関係
- 77 ナタネ種子の発育と莢内部の気体環境との関係
- 44 イネにおける培地窒素条件の変化に伴う地上部:地下部比の変動と体内窒素との関係
- 播種前処理を行ったニンジン種子の異なる水分ストレス条件下における発芽および幼根の生長
- 数種野菜種子のプライミングにおける塩類溶液の影響
- 春播ニンジンの出芽および生育収量に対する播種前種子処理の影響
- ニンジンの出芽に対する数種の播種前種子処理の効果
- 播種前処理を行ったニンジン種子の低温下における発芽および幼根の生長
- ニンジン種子におけるプライミング中の幼根の突出に対する第三リン酸塩の高pHの影響