ウンシュウミカンの花芽分化に及ぼす環状はく皮と温度条件
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概要
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カラタチ台ウンシュウミカン (興津早生) の幼樹の生長と花芽分化に及ぼす環状はく皮の影響を種々の温度条件下で観察するとともに, はく皮による樹体の生理的変化を調査した. はく皮処理は, 接木部より5cm上部の主幹の樹皮を幅3mmで全周剥ぎ取った. はく皮部をゆ合させる場合は, ビニルテープで被覆した.<BR>1.露地においた根箱植え樹を春枝伸長停止後の6月中旬と夏枝伸長停止後の9月上旬にはく皮し, ゆ合させた. 前者でははく皮直後から根の生長が抑制されたが, ゆ合後は再開された. しかし, 夏枝の発生は遅れ, 伸長量も小であった. 後者でも根の生長が抑制され, ゆ合後も秋季の低温のためほとんど再開されなかった. はく皮樹ではいずれも秋枝は発生しなかった.<BR>2.露地の鉢植え樹を6月中旬, 7月下旬および9月中旬にはく皮し, ゆ合させ, 無はく皮樹とともにこれらを1.5か月ごとに摘葉高温処理 (全葉摘除後, 25°C室に搬入) した. 無はく皮樹では6月中旬には発芽に10日以上を要したが, 7月下旬には数日以内に発芽した. 以後は再び日数を多く要するようになり, 10月下旬には最大値の20日を示した. 6月はく皮樹では7月下旬, 9月中旬および10月下旬の摘葉でそれぞれ15,9, 17日を示した. 7月下旬および9月中旬のはく皮樹では無はく皮樹と日数はほとんど変わらなかった.12月に摘葉高温処理すると, 7月と9月のはく皮樹では多くの花蕾が発生したが, 6月のはく皮樹では少なかった.<BR>3.9月1日にはく皮した樹と無はく皮樹を, 同日から11月下旬まで, 環境制御室の15°, 20°, 25°C室と露地においた. はく皮部のカルス発生は高温区ほど早く, 形成量も多かった. 15°C区ではまったく形成されなかった. 12月1日の摘葉高温処理後の発芽率は高温区のはく皮樹で低くなった. 25°C区の無はく皮樹ではほとんど花蕾が発生しなかったが, はく皮により発生した. 低温の15°, 20°C区では無はく皮樹でも花蕾が多く発生し, はく皮による影響は少なかった. 発芽節当たりの花蕾発生数は処理温度のいかんにかかわらず,はく皮により多くなった.<BR>4.9月1日にはく皮した露地の鉢植え樹の生理的変化を葉で無はく皮樹と比較した. 糖含量は秋の気温の低下に伴って高くなった. デンプン含量ははく皮の直後から増加し始め, 20%以上になり, その後低下した. 窒素含量はゆ合するまでは直線的に低下したが,ゆ合すると増加した. C/N率はゆ合しないと直線的に大となったが, ゆ合樹では低下した. 蒸散抵抗ははく皮後大きくなり, 樹体内の水分移動が緩慢になった.
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