聴神経腫瘍に関する各種聴覚検査成績について
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概要
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聴神経腫瘍2症例に関して, 術前術後に各種の聴覚検査を実施したところ次の様な結果が得られた.<BR>1) 純音域値検査では二例とも術前相当の域値上昇を示したが, 一例は術後かなり回復し, 他の一例は術後も変化なかった.<BR>2) 語音検査では二例とも術前最高明瞭度値の低下が認められたが, 一例は術後ほぼ正常に回復し, 他の一例は術後も変化なかった.<BR>3) リクルートメント現象の検査では2例とも陰性を示した.<BR>4) TTS検査では二例とも術前にTTSが連続音にて認められたが, 一例は術後それが認められなくなり, 他の一例では術後もいぜんとして認められた. この例では術後断続音にてもTTSが認められた.<BR>5) 聴神経腫瘍におけるTTSの変動については, 腫瘍の進展に伴ないTTSが出現する周波数は高い方からだんだん低い方えと移動し, 腫瘍が除去され障害が改善されてくると, 逆にTTSが出現する周波数は低い方から高い方えと移動していくものと考える.<BR>6) 断続音にてTTSが認められる場合は, 連続音では反応しない周波数で認められ, その周波数はその時点において反応を示す最高の周波数である.<BR>7) 歪語音検査では何れも術前と比べて術後は改善されているが, なお中枢性障害が残っているものと考えられる. さらに一例については健側耳においても異常値が認められ, このことは患側聴神経腫瘍による反対側すなわち健側えの二次的影響と考えたい.<BR>8) 方向感検査にては二例とも異常を示しているが, 純音域値検査にて左右の域値差が相当に認められるので, この成績をそのまま方向感機能異常と速断出来ない.<BR>9) 両耳合成検査では術前異常値を示したものが, 術後一例は正常値に回復し, 他の一例では正常値ではないけれども片側歪語音検査の結果と比べてみてかなりの回復を示している.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
著者
-
安藤 一郎
順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学教室
-
久保田 肇
順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学教室
-
木村 淑志
順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学教室
-
西田 正剛
順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学教室
-
李 汝培
順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学教室
-
清水 真臣
順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学教室
-
和田 昌士
順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学教室
-
栄木 恭男
順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学教室
-
栄木 恭男
順天堂大学医学部耳鼻咽喉学教室
-
和田 昌士
順天堂大学医学部耳鼻咽喉学教室
-
李 汝培
順天堂大学医学部耳鼻咽喉学教室
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