両耳分離能検査の試みとその検討
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概要
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1.目的感音難聴は内耳性難聴と後迷路性難聴とに二大別されている.内耳性難聴については今日高い精度で診断されるようになつた.けれども後迷路性難聴の鑑別診断は種々の検査法の開発によつても尚容易ではない.今回は両耳難聴現象を利用した検査法として両耳聴現象を利用したにテープを試作し,正常者20名について検査を実施した.2.検査法検査語音は日本人の日常最も繁用頻度の高い,具象かつ有意の清音及び濁音の2音節語で,いずれも明瞭で親しみ易い内容の語音である.両耳に与えられる刺激方法は一耳の第2音節と他耳への第1音節とを時間的に一致させ,無競合部分と競合部分との2つの要素をもつ.そして最初に左耳に無競合部分の第1音節を与えた場合には,次の刺激は右耳に最初に無競合部分の第1音節を与えて左右交互に刺激して等負荷となるようにした.刺激の間隔は筆記に要する時間を考慮して7秒とした.各々20個の項目からなる3つの検査語音表を作り,第1語音表は濁音-濁音で組み合わせた20項目で,これは試聴用とし,第2,第3語音表は濁音一清音を組み合わせた項巨で検査を実施した.3.結果1)被検者個の成績を検討すると20名中16名は各語音表を通じて右耳の語音明瞭度が優つていた.2)各語音表別に左右両耳の成績を比較すると,明らかに統計上有意の差をもつて右耳の優位が示された.3)左右両耳共,検査の進行につれて訓練効果を示した.