ジエン法によるアントラセンの迅速定量改良法
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概要
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無水マレイン酸とのジエン反応を利用するアントラセンの定量法は各種提案され,JIS法にも採用されているが,本報において,従来の方法より迅速でかつ正確な新改良法を提案した.本定量法は反応時間の短くてすむキシロールを溶媒として使用し,試料中のアントラセンに無水マンイン酸を附加させたのち,キシロールを溜去することなく,冷後これに四塩化炭素ならびに水を加え,クロベン法のごとく溶媒の存在のままで,チモールブルーとクレゾールレッドの混合指示薬を使用してアルカリ滴定を行い,過剰の酸を求め,最初に加えた無水マレイン酸との差よリアントラセンを定量する方法である.<BR>本定量法の誤差を生ずる最大の原因は滴定誤差であり,理論上最大±0.3%の誤差である.分析所要時間は約1時間である.<BR>(1)アントラセンはキシロールを溶媒として過剰の無水マレイン酸と加熱することにより附加反応を行わせ,反応後冷却してから四塩化炭素ならびに水を加え,キシロールを水相の下に沈降させ,過剰の無水マレイン酸をマレイン酸となし,チモールブルーとクレゾールレッド混合指示薬を使用して,濃度既知のアルカリで滴定することにより,分析所要時間約1時間て従来のキシロール法,クロベン法より迅速に定量し得た.<BR>(2)本定量法の誤差は最大±0.3%であり,誤差を生ずる最大の原因は滴定誤差である.<BR>(3)アントラセンの紫外線吸収を利用して測定したところ,無水マレイン酸とアントラセンをそれぞれ0.5g秤取してキシロール10m<I>l</I>中で反応させた場合,30分加熱すれば未反応のアントラセンは約0.05%となりこの定量法の誤差範囲内になる.<BR>(4)本定量法では反応によって生じた附加物の滴定に対する影響も,この定量法の誤差範囲内である.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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