比色分析によるセメント中の無水硫酸の迅速定量
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概要
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ホウ酸トリウム-アマランス化合物が,硫酸イオンにより定量的にアマランス分子を放出する反応を利用して,セメント中の無水硫酸を迅速に定量する方法を検討した結果,試料を直接塩酸で溶解したのち,妨害イオンの影響を除き,ホウ酸トリウム-アマランス化合物を加えて振りまぜることにより溶出するアマランスの濃度を,弱酸性溶液中,532mμで比色定量する方法を確立した.<BR>この場合,セメント中妨害元素としてはアルミニウム,鉄,カルシウムおよびマグネシウムが影響するが,アルミニウムと鉄は水酸化物として除き,カルシウムとマグネシウムはマレイン酸を用いてマスクすることにより影響を除いた.所要時間は約30分で非常に速く,精度,再現性ともに良好である.<BR>ホウ酸トリウム-アマランス錯化合物が硫酸イオンにより定量的にアマランス分子を放出する反応を利用して,セメント中の無水硫酸を迅速に定量する方法について種々検討した結果,次のような定量方法を確立した.すなわち,試料を塩酸で処理して溶液としたのち,クロルフェノールレッドを指示薬としてアンモエア水を加え,鉄およびアルミニウムを水酸化物として除き,ロ液の一部にマレイン酸を加えてカルシウムおよびマグネシウムをマスキングしたのち,ホウ酸トリウム-アマランス試薬を加え,14.5〜20.0℃に調節して振とうを行ない,硫酸イオンとの反応を十分に行なわせ,溶出したアマランスの濃度を532mμで測定し,あらかじめ作成しておいた検量線より無水硫酸として算出する.<BR>この場合アマランスの濃度は無水硫酸の濃度に比例し(7.5ppmまで),ベールの法則に従う.<BR>本法を用いて普通,中庸熱,早強,白色の各ポルトランドセメントンおよび高炉セメント(B種)について定量を行なったところ,絶対誤差は士0.1%以内,再現性は良好であった.なお,本法による分析所要時間は約30分である.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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