白血球イソターフェロンが有効であつた原発性肺腺癌の1例
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概要
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肺原発の腺癌に白血球インターフェロンが有効であつた症例を報告する.症例は39才の女性で背部痛,左下肢の挙上困難を主訴に入院した.入院時血中アミラーゼ663U/l, CEA 4.1ng/mlと上昇し,胸部X線写真にて左肺門部に直径3cm程度の腫瘤を認めた.気管支鏡下粘膜生検により腺癌と診断された.消化管,乳房,女性生殖器等の検索を施行したが異常を認めず,肺原発の腺癌と考えた.骨シンチにて脊椎,肋骨,骨盤に多数転移を認め, CTにて腹腔内リンパ節の腫脹を認めた.入院後病状は急速に悪化し,自覚的には咳嗽,呼吸困難,骨痛が著明となり,他覚的には第4胸椎以下の全感覚低下.下肢筋力低下が認められ, Virchowリンパ節は母指頭大に増大した.胸部X線像上左S3の無気肺および癌性リンパ管炎像を呈し,動脈血ガス分析値も悪化した.最も進行した肺原発腺癌であり全身状態も不良であることより,転移胸椎部位へ60Co照射後白血球インターフェロンの単独投与を開始した.連日600万単位を筋注したところ前記症状は全て徐々に軽快し, Virchowリンパ節も消失するとともに胸部X線写真,気管支鏡上も著明な改善を認めた,腫瘍産生性と考えられたアミラーゼも一時900U/lまで上昇したが,漸減し正常化した.副作用としては脱毛と軽度白血球減少および肝機能異常のみであつた.肺原発の悪性腫瘍にインターフェロンが有効であつた報告はまれであり,著者らが検索しえた限りでは,本症例は世界で2例目である.
著者
-
小室 一成
東京大学医学部第三内科
-
本田 英輔
東京大学医学部第三内科
-
高久 史麿
東京大学医学部中尾内科
-
北村 諭
東京大学医学部第3内科
-
浦部 晶夫
東京大学医学部第三内科
-
佐藤 典治
東京大学医学部第三内科
-
浦部 晶夫
東京大学医学部第3内科
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