肝障害における血清dopamine-β-水酸化酵素活性

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重症の肝障害ではdopamine-β-水酸化酵素によつて合成が触媒される偽性神経伝達物質が増加し,中枢,末梢神経障害が生ずることが認められている.この酵素は副腎髄質や交感神経終末の顆粒に存在するのみならず,主として後者に由来する酵素が血液中に放出されている.したがつて,肝疾患の本血清酵素活性を測定することは興味深いことである.健常人21例,慢性肝炎非活動型18例,同活動型14例および肝硬変症13例を対象として,種々の条件で本血清酵素活性とGOT, GPT, alk-P-ase, γ-GTP, LDH, LAPの血清酵素活性を測定した.これらの肝疾患の本血清酵素活性は何れも健常人に比較し有意に高値を示し, GOT, GPT活性とそれぞれ正の相関々係を認めた.また, alk-P-aseは慢性肝炎非活動型においてのみ正の相関々係を認めたが,他の2疾患では全く認めなかつた. γ-GTP, LDH, LAPとも全く相関々係を認めなかつた.また,各種肝疾患の治療中に血清transaminase活性と本血清酵素活性は平行して変動することを認めた.また,肝疾患の本血清酵素活性には日内変化がなく,測定に対する非特異的影響も認めなかつた.これらの成績は肝障害時交感神経終末において本酵素による偽性神経伝達物質の合成が促進され,本酵素の酵素蛋白の合成および分泌が増加したことを示唆している.
社団法人日本内科学会の論文

肝障害における血清dopamine-β-水酸化酵素活性

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