薬物の毒性評価のためのマウス受精卵のIn vitro培養 : (1)マウス着床前受精卵のIn vitro培養法の確立およびその発育経過に及ぼす6-Mercaptopurineの影響
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概要
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マウスの受精卵を2細胞期または8細胞期より,in vitroで培養し,後期胚盤胞に至るまでの発育率を指標として培養条件の検討およびその至適系を使って,薬物の受精卵におよぼす影響をみた.1)3種の培養液,SECM,BMOC-III,TYH-280について検討した結果,2細胞卵の後期胚盤胞へ至るまでの発育率はBMOC-IIIにおいて最高率を示した.したがって,培養液としてはBMOC-IIIを用いた.2)培養液の交換については受精卵の培養開始後,1回交換し,後期胚盤胞に至るまでの発育率を検討した.2細胞卵を培養開始後1および3時間に培養液を交換したときの発育率は12および24時間後交換した際の発育率に比較して低下していた.8細胞卵は1時間後交換で発育率の低下を示した.したがって,受精卵の培養開始後1および3時間での環境変化は発育を阻害し,8細胞卵は2細胞卵と比較して,環境変化に対する抵抗性を示すと思われた,3)6-mercaptopurine(6-MP)の受精卵の発育に対する影響については2細胞卵および8細胞卵に6-MPを12または24時間作用させると,各発育段階での発育率は用量依存的に減少したが,8細胞卵での発育率は2細胞卵の結果と比較して高かった.したがって,受精卵に対する薬物作用時間は12または24時間が最適であるとした.受精卵の発育率は作用時間中および終了後においても減少した.作用時間中の発育率の減少は薬物の細胞致死作用である急性毒性の発現を示していると考えられる.また,作用終了後の発育率の低下は数回の細胞分裂後に発現した.これはこの薬物が受精卵の細胞機能に何等かの影響を与えたことを示唆していると考える.
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