ストレス適応形成機構における中枢モノアミン作働性神経系の役割

概要

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ストレス適応の形成機構における中枢モノアミン作働性神経系の役割を考究する目的で，反復拘束ストレスに対する適応形成ならびに非形成時の脳，脊髄内ノルエピネフリン(NE)，ドーパミン(DA)およびセロトニン(5-HT)作働性神経系の動態特性を神経化学的に検討した．ラットに1日1あるいは2時間の拘束ストレスを7日間反復負荷することにより，体重変化率，摂食量，摂水量および自発運動量の減少，疼痛閾値の増加などのストレス反応が消失し，ストレスに対する適応が形成された．一方，1日4時間の7日間反復負荷条件下では，ストレス反応の発現は維持され，適応は形成されなかった．反復拘束ストレスに対して適応を形成したラット(適応モデル)に共通して，大脳皮質前頭部，中脳-視床，線条体，視床下部，延髄-橋，小脳の各脳部位および頸髄，胸髄，腰髄の各脊髄部位で5-HT代謝回転の著明な増加が認められた．また，この適応モデルに共通して脊髄内NE代謝回転の増加が観察されたが，脳内NEおよび脳，脊髄内DA代謝回転の変化には共通性は認められなかった．一方，反復拘束ストレスに対して適応を形成しないラット(非適応モデル)では，視床下部および腰髄での5-HT代謝回転の増加が観察されたが，他の脳，脊髄部位では何ら変化が生じなかった．さらに，この非適応モデルの大脳皮質前頭部，線条体および頸髄においてNE代謝回転の減少が認められた．しかし，DA代謝回転に関しては，脳および脊髄のいずれの部位においても変化が生じなかった．以上の所見から，反復拘束ストレスに対する適応の形成には，5-HT代謝回転の増加に起因する脳，脊髄内5-HT作働性神経系の活性亢進およびNE代謝回転増加に伴う脊髄内NE作働性神経系の活性亢進が関与することが示唆される．
社団法人日本薬理学会の論文

ストレス適応形成機構における中枢モノアミン作働性神経系の役割

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