脳内アセチルコリンの神経化学的研究:熱分解GC/MS法による定量とその応用
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概要
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強磁性体のキューリー点を利用したキューリーポイント型(誘導加熱炉型)熱分解GC/MS法による脳内アセチルコリン(ACh)定量法を確立し,β,β-imino-dipropionitrile(IDPN)誘発ジスキネジアモデルラットの脳内コリン作働性神経活性の変動を検索した.AChの微量定量法を確立するために,1)注入口と試料管との距離を短縮し,4級アミンから3級アミンへの脱メチル化の際,生成ガスが収率よく,しかも副分解や再合成の少ない状態で分析系へ瞬時に移行できるようにした.2)適切な熱分解温度(333°C)を確立した.3)333°Cにキューリー点をもつパイロホイルに試料を包み,200kgf/cm2の圧力下で成型した.4)充填カラムではなくキャピラリーカラム(DB5)使用の利点を確認した.これらの改良の結果,最高検出限界は1pmol,変動係数は4.7%であり,しかもキャピラリーカラム使用により理論段数で約75倍,分離能で約2.6倍の高い性能が得られた.さらに,ACh,プロピオニルコリン(PCh)は,それぞれ固有の擬分子ピークで,かつフラグメントイオンの少ないピークを示し,従来のACh微量定量法をより精度の高い検出方法に導き得た.しかも,GCIMS法は特異性や再現性が優れていることから,改良型熱分解GCIMS法を応用することにより,ラット脳内微小部位コリン作働性神経活性の,より精緻な測定が可能となった.すなわち,IDPN誘発によるジスキネジアモデルラットの尾状核では約50%(P<0.01),淡蒼球では約30%(P<0.05)のACh含量の著明な低下が認められた.しかも,これらの部位のPCh含量の著明な低下から,ジスキネジア発症時の尾状核や淡蒼球におけるコリン作働性神経活性の低下が明らかとなった.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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渡辺 泰雄
東京医科大学薬理学教室
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渋谷 健
東京医科大学薬理学教室
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渡辺 泰雄
中国医科大学薬学院天然薬物研究室
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渡辺 泰雄
東京医科大学
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渋谷 健
東京医科大学薬理学
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高木 邦格
東京医科大学薬理学教室
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