新規ヒスタミンH<SUB>1</SUB>受容体拮抗薬ebastineの薬理学的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
新規抗ヒスタミン薬ebastineの抗アレルギー作用について既存の抗ヒスタミン薬と比較検討した.1)ebastineは経口投与により,モルモット同種受身皮膚アナフィラキシー(PCA),ラット実験的アレルギー性鼻炎およびモルモット実験的喘息を抑制し(ED<SUB>50</SUB>値はそれぞれ2.17,0.29および0.35mg/kg),その効力はテルフェナジンおよびメキタジンより強かった.ebastineのPCA抑制作用は24時間持続した.2)ebastineは経口投与により,ラットのヒスタミン誘発皮膚反応を用量依存的に抑制し(ED<SUB>50</SUB>:1.10mg/kg),その効力はテルフェナジン,メキタジンおよびケトチフェンのそれぞれ約2.2倍,3.4倍および0.7倍であった.3)摘出モルモット気管標本におけるヒスタミン誘発収縮に対し,ebastineは溶解限度の10μMで抑制作用を示さなかったが,その主代謝物であるcarebastineの抑制効力(IC<SUB>50</SUB>:0.12μM)はテルフェナジンおよびメキタジンの約40倍であった.一方,回腸標本ではebastineにも抗ヒスタミン作用がみられ,その効力はcarebastine(IC<SUB>50</SUB>:0.13μM)の約0.04倍であり,両者の作用はインキュベート時間に依存して強くなった.4)carebastineはラット腹腔肥満細胞およびヒト末梢血好塩基球からのヒスタミン遊離を高濃度で抑制した.5)ebastineは脳ヒスタミンH<SUB>1</SUB>受容体への<SUP>3</SUP>H-メピラミンの特異的結合を,抗ヒスタミン作用発現用量の100倍以上の経口投与でも軽度にしか抑制しなかった.その効力は,テルフェナジンよりやや強く,メキタジンおよびケトチフェンよりも明らかに弱かった.6)carebastineは摘出モルモット気管標本において,抗ヒスタミン作用の約0.001倍の抗コリン作用しか示さなかった.以上の結果から,ebastineは強力で持続的な抗アレルギー作用を示すが,抗ヒスタミン作用に基づく中枢性副作用は弱く,これらの作用の大部分は代謝物のcarebastineを介するものであることが示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
-
薬王 郁久
大日本製薬(株)
-
石井 勝美
大日本製薬株式会社総合研究所
-
中村 秀雄
大日本製薬株式会社総合研究所
-
世戸 康弘
大日本製薬株式会社総合研究所
-
武山 邦彦
大日本製薬株式会社 開発研究所
-
薬王 郁久
大日本製薬
-
世戸 康弘
大日本製薬
-
中村 秀雄
大日本製薬
-
今野 清美
大日本製薬(株)探索研究所
-
唐澤 忠彦
大日本製薬(株)探索研究所
-
武山 邦彦
大日本製薬(株)探索研究所
-
中村 秀雄
大日本製薬(株)開発研究所
-
石井 勝美
大日本製薬(株)探索研究所
-
世戸 康弘
大日本製薬(株)探索研究所
-
薬王 郁久
大日本製薬(株)探索研究所
関連論文
- 9 モルモットIgE定量試薬「モルモットIgE ELISAマルピー」の開発およびその評価
- 非ステロイド性抗炎症薬 AD-1590 の抗炎症作用機序
- マウスおよびラットにおけるLoperamide Hydrochlorideの身体依存性
- 非ステロイド性鎮痛・抗炎症薬Tolmetin Sodiumの関節炎痛, 打撲浮腫ならびにLPS発熱に対する影響
- O43 鼻粘膜上皮におけるCC Chemokine mRNA発現へのエバスチンの影響 : ヒト鼻粘膜擦過片を用いた検討
- 鼻粘膜における CC Chemokine mRNA の発現へのエバスチンの影響
- 354 鼻粘膜におけるCC Chemokine mRNAの発現と制御
- 新規ヒスタミンH1受容体拮抗薬ebastineの薬理学的研究
- 132 新規経口抗アレルギー薬 AL-3264のサル Prausnitz-Kustner 反応抑制作用
- 144 (E)-3-[P-(1H-Imidazol-1-yl-methyl)phenyl]-2-propenoic acid hydrochloride(OKY-046)の抗アレルギー作用
- Alaceprilの実験的心不全イヌにおける作用
- General Pharmacology of Posatirelin (RGH-2202), a Potent Thyrotropin-releasing Hormone (TRH) Analogue 1. Effects on Cardiovascular System Autonomic Nervous System, Visceral, Renal and Other Functions
- 桃仁の研究(第3報)桃仁の抗炎症性蛋白成分PR-Bの抗活性酸素作用
- 桃仁の研究(第2報)桃仁の水抽出成分の薬理作用
- 生薬紫根の成分Shikonin及びその誘導体, Pentaacetyl Shikonin(MDS-004)の肉芽腫形成促進作用並びに遅延型アレルギー抑制作用(薬理学)
- Morphine坐剤のラットにおける鎮痛作用
- 非ステロイド性抗炎症薬Bermoprofen (AD-1590)の代謝物の抗炎症, 鎮痛, 解熱及び胃潰瘍形成作用
- 混合起炎剤誘発足蹠浮腫ならびに打撲浮腫に対する経皮非ステロイド性鎮痛・抗炎症剤Etofenamate Gelの抑制作用
- 鎮痛, 解熱および抗炎症作用におけるAminopyrineとPhenopyrazoneとの配合効果
- エンケファリナーゼ阻害剤, 消化管障害を引き起こさない経口鎮痛薬
- シクロオキシゲナーゼ(COX)-2選択的阻害薬 : アスピリン,COX-1/COX-2阻害薬からCOX-2選択的阻害薬へ
- 『医薬品の生涯』からみた「くすりと薬理学」
- 新規ヒスタミンH1受容体拮抗薬ebastineの薬理学的研究
- 経皮非ステロイド性鎮痛・抗炎症剤 Etofenamate gelの抗炎症および鎮痛作用
- 非ステロイド性鎮痛・抗炎症薬Zomepirac sodiumの鎮痛作用
- 熱湯性浮腫(scald oedema)反応におよぼす二,三の抗炎症剤の影響
- 非ステロイド性抗炎症薬AD-1590の抗炎症作用における動物種族差とその血漿中レベルにおける動物種族差との間の相関性
- 非ステロイド性抗炎症薬AD-1590のアレルギー性炎症に対する影響
- 経皮非ステロイド性抗炎症薬 Etofenamate の In vitro 抗炎症作用機序
- 経皮非ステロイド性鎮痛・抗炎症剤Etofenamate gelの抗浮腫作用
- 非ステロイド性抗炎症薬Etofenamateの抗炎症,鎮痛および解熱作用
- 止瀉剤Loperamideの薬理学的研究(第1報)ヒマシ油ならびにProstaglandin E1誘発下痢に対する効果
- 昆虫和漢薬の生薬学的研究(I) : 虻虫について
- 桃仁の研究(第1報) : 抗炎症活性ならびに鎮痛活性を有する活性成分の検索
- 杏仁,郁李仁およびアーモンドの種子の抗炎症ならびに鎮痛作用を有する活性成分
- 外用副腎皮質ステロイド剤Fludroxycortide tapeの抗炎症作用
- 非ステロイド性鎮痛・抗炎症剤Tolmetin sodiumの浸出性炎症におよぼす影響
- 非ステロイド性鎮痛・抗炎症薬Zomepirac sodiumの抗炎症作用
- 非ステロイド性鎮痛・抗炎症剤Tolmetin sodiumの鎮痛作用