前庭神経外側核ニューロンに対するIfenprodilの作用
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概要
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ifenprodilは抗ヒスタミン作用および脳血管拡張作用を有し,二重盲検法によリヒトにおいて抗めまい作用があると判定されている薬物である.今回はネコ前庭神経外側核 (LVN) ニューロンに対するifenprodilの作用を電気生理学的方法により検討した. LVNニューロンは前庭神経末梢を刺激した時の反応から単シナプス性,多シナプス性I型および多シナプス性II型ニューロンに分類され,これらのニューロンにおける順行性伝達に対するifenprodilの作用を検討した. ifenprodilの5mg/kgまでの静脈内投与では単シナプス性ニューロンは影響を受けなかった.一方,多シナプス性I型およびII型ニューロンでは, ifenprodil 1mg/kg静脈内投与によりスパイク発火が有意に抑制された.しかし, 5および10mg/kg静脈内投与では用量依存性の影響は認められなかった.すなわち,抑制されるニューロンと逆にスパイク発火数が増加するニューロンが認められ,さらに, 5mg/kg投与時まで抑制され, 10mg/kg投与によりその抑制が消失するニューロンも存在した.大腿動脈血圧は用量依存性に下降したが, 1, 5および10mg/kg投与では20分後でも各用量の投与前の水準まで回復せず,それぞれ,実験開始時の血圧よりも0〜30, 35〜65および45〜90mmHg下降した状態であった.以上の結果は, ifenprodilの10mg/kgまでの投与はLVNの単シナプス性ニューロンにはほとんど影響せず,選択的に多シナプス性I型およびII型ニューロンに作用することを示しており, ifenprodilの少量では多シナプス性ニューロンは直接抑制され,大量ではおそらく血流の増加によりニューロンの反応性が高まるものと考えられる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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笹 征史
京都大学医学部薬理学教室
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高折 修二
京都大学医学部薬理学教室
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高折 修二
島根医科大学
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永瀬 毅
京都大学医学部薬理学教室
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笹 征史
京都大学医学部耳鼻咽喉科学教室
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笹 征史
京都大学医学部 薬理学教室
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