ラット胃粘液ゲル層と表層部胃粘液細胞の同時観察のための組織固定液の検討
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概要
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ラット胃粘液ゲル層と表層部胃粘液細胞を組織学的に同時に観察するための最も適している組織固定液について検討した.固定液には各種温度(-80°C〜20°C)のエタノール,-80°C メタノール,カルノア液,ホルマリンエタノール,ホルマリンタイロードを用いた.固定後,腺胃部の胃底腺および幽門腺領域のそれぞれ一定部分を切り出し,パラフィン包埋後,薄切切片を作成して表層部粘液観察のためのAlcian blue(pH2.5)-Periodic acid Schiff(AB-PAS)染色を施した.胃粘液状態の評価法としては光学顕微鏡的な粘液ゲル層の厚さの測定と表層部粘液細胞数の算定を行なった.胃底腺領域における粘液ゲル層の厚さは,-80°C エタノール>-80°Cメタノール>カルノア>ホルマリンエタノール=ホルマリンタイロードの順であった.またPAS陽性粘液細胞数は,-80°Cメタノール>-80°C工タノール>ホルマリンタイロード>カルノア>ホルマリンエタノールの順に,AB陽性粘液細胞数は,-80°Cエタノール>ホルマリンタイロード>-80°Cメタノール>カルノア>ホルマリンエタノールの順に多く観察された.幽門腺領域でもほぼ同様の傾向が認められた.またエタノールの温度条件について別に検討した結果,低温になるにつれて粘液ゲル層の厚さおよび粘液細胞数が増加して観察され,-80°C が最も良い条件と思われた.さらに,固定後の各種固定液中に含まれるヘキソースおよびヘキソサミン量を測定して胃粘液成分の保持能力を観察した結果,いずれも-80°Cエタノール固定液で最も少ないことが認められ,組織中胃粘液成分の固定液への遊離,脱落が少ないことが確認された.さらに,-80°C工タノール固定液では,包埋後の組織が変形するなどの形態的変化あるいは粘膜上皮細胞の収縮などがほとんど見られず個々の粘液細胞の観察が可能であった.以上の結果から,胃粘液観察のための組織固定液としては-80°C工タノールが最も適していると考えられた.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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島田 英世
北里大学薬学部臨床薬理学教室
-
島田 英世
北里大学薬学部(臨床薬理学教室):北里研究所病院
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島田 英世
北里大学薬学部臨床薬学病態解析部門
-
小平 久正
北里大学薬学部臨床薬理学教室
-
鹿児島 正豊
北里大学薬学部臨床薬理
-
小平 久正
北里大学薬学部分子薬理学教室
-
小平 久正
北里大学薬学部
-
鹿児島 正豐
北里大学薬学部分子薬理学教室
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