Reserpine潰瘍における胃血管動態に関する薬理学的研究
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概要
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reserpine潰瘍の成因について,その防御因子側の要因の一つである胃粘膜血管系の病変がerosion発生にどの様に影響をおよぼしているか,ラットを用い,血管内に色素を注入した透明標本を作製して検討した.その結果血管系病変は集合静脈,粘膜層血管の狭窄によるischemiaであり,これはreserpine投与初期の約1時間後より3時間後まで大弯側腺胃部に多発する.erosionは約3時間後より小弯側腺胃胃底腺幽門腺境界域に初発し,時間の経過と共に大弯側に拡大する.また,ischemiaはphentolamine,hexamethonium,methysergideなどで抑制されることから,reserpine投与による内因性のcatecholamineおよびserotoninの遊離によるものと思われる,erosionはatropine,vagotomy,propranololで抑制され,hexamethoniumでやや抑制,diphenhydramine,metiamide,methysergideで影響されず,carbachol,phentolamineで悪化する.これらを考え合わせるとerosionの成因は,初期病変であるischemiaならびに内因性catecholamine遊離枯渇後の副交感神経優位状態に基づく胃運動,胃液分泌の亢進によるものと考えられるが,ischemia好発部位はerosionの初発部位と異なることから,このischemiaの直接的な関与は少ないものであると考えられる.また,erosionは胃液分泌を抑制するmetiamideでは抑制されず,胃運動,胃液分泌を共に抑制するatropine,vagotomy,propranololおよび粘膜血管系を拡張してischemiaを抑制し,胃運動も抑制する<I>l</I>-isoproterenolの持続静注によって抑制されること,さらにerosionの初発部位が,胃運動の活発な小弯側にあることなどから,ischemiaのみならず胃運動の亢進がその成因に強く関与していると考えられる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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