熱損失モデルを含む複合モデルによる気象条件の乳量に及ぼす効果の評価
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概要
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酪農施設の簡素化,省略を実現するために天然の気象条件が乳量に及ぼす影響を評価した.天然の気象条件が乳量に与える長期的,短期的効果を評価するために振動モデルと熱損失モデルと組み合わせた複合モデルを考案した.y=b0+b(e-t/c-e-t/ac)+b1u1/2d3/2(Tb-Tn)+b2Ddここでyは分娩後t日の乳量を表す.右辺の第1項は定数である.第2項は林ら(1986)の振動モデルそのものである.第3項のuは分娩後t日の平均風速を示し,dは牛体を比重1の仮想の球体としたときの半径である.Tbは乳牛の体温,Tnは平均気温を表す.b1は係数である.第4項は乾乳項で搾乳期末期の乳量抑制を表す.東北農業試験場の65例の泌乳データを利用し,この複合モデルのパラメータを逐次法と重回帰の組み合わせにより推定した.気象データはアメダスデータを利用した.WOODの実験式,振動モデルおよび本研究で開発した複合モデルを当てはめて,その適合度を比較した.振動モデルのパラメータの推定法を改良したところ,多くの例で適合度は複合モデル,振動モデル,WOODの実験式の順に優れていた.複合モデルのbは全ての例で傾きが高度に有意であり,b2も多くの例で高度に有意であった.b1は多くの例で傾きが有意であったが,0.038を中心に正負にばらついた.またa,cは搾乳期間中の平均気温と有意な相関を示し,平均気温の上昇により立ち上がりが遅れ,ピーク後の乳量低下が早まる傾向のあることなどが確認された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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