牛肉の熟度指標としての物理化学的性質
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概要
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熟成期間の不明な牛肉の熟度を幅広い期間で推定できる指標を求めるために,屠殺後3日のホルスタイン種去勢牛のロイン部を2°Cで,4,11,14,31日間貯蔵し,食味性,剪断力価(SFV),筋原線維の小片化率(MFI),およびSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)パターンの変化を調べた.牛肉の食味性は,貯蔵11日目(死後15日)頃から官能的に柔らかくなり,香味も改善されたが,31日目には柔らかくなり過ぎ,逆に好ましくなかった.一方,物理化学的特性は何れも11日目までは比較的顕著に変化し,SFVは減少,MFIは増加の傾向を示した.更にSDS-PAGEの結果,30,000ダルトン成分(30KD)も貯蔵4日目から認められ,その濃度は貯蔵中,次第に増加する傾向を示した.これらの変化は食味性が良好となる時期と一致するため,このときに熟成効果は最大に達していると考えられた.SFVは,この間(熟成前期)の熟度指標として有効であったが,その後(熟成後期)は好ましくなかった.一方,MFIと30KDは後期熟成中も漸増傾向を示したことから,由来不明の牛肉の熟度を幅広く推定するための指標として,より好ましいと考えられた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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