牛肉の熟度指標に及ぼす筋肉部位の影響
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概要
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牛肉の熟度指標に及ぼす筋肉部位の影響を調べるためにご,屠殺後3日のホルスタイン種去勢牛のウデ肉から4種の筋肉(上腕三頭筋(TB),棘上筋(SS),上腕二頭筋(BB)上腕筋(BA))を採取し,ポリ塩化ビニリデンフィルムで真空包装した.これを0°Cで28日間貯蔵し,貯蔵開始当日(死後4日),7,14,21,および28日目に分析した.分析は供試筋肉のコラーゲン含量と貯蔵中の筋肉の官能的柔らかさ,剪断力価(SFV),ATP関連化合物,筋原線維小片化率(MFI),および30,000ダルトン成分(34kDa)の変化を調べた.全コラーゲン量は筋肉間で異なり,多い順にBA>BB>SS>TB筋となった.官能的柔らかさはいずれの筋肉も貯蔵日数の進行と共に向上し,貯蔵による熟成の効果が認められた.軟化の程度はコラーゲン量の多いBA筋で少なかった.貯蔵中のMFIの増加速度は筋肉間で異なり,コラーゲン量が多い筋肉(BB, BA)ほど遅い傾向にあった.30kDaはMFIの進行が速い筋肉で貯蔵中に増加傾向にあったが,その程度は前報8)のロース肉に比べ少なかった.逆にMFIの進行が遅い筋肉では30kDaの出現時期は遅く,貯蔵中の増加もわずかであった.このように30kDaの発現と筋原線維の小片化との間に強い関係が見られた.これらの特性に対し,ATP関連化合物の貯蔵中の変動パターンはどの筋肉でもほとんど同じで,上述の筋肉間の軟化の差異に対応せず,軟化速度の遅い筋肉に対しては熟度指標として好ましくなかった.以上から,牛肉の熟度指標として,ATP関連化合物よりもSFV, MFIおよび30kDaの方が有効と考えられた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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