鶏上腕部骨格筋におけるI型筋線維の退化消失

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鶏の上腕部骨格筋は成鶏では完全にあるいはほとんどII型筋線維だけで構成されるが,胚発生の初期にはI型筋線維を含むことが知られている,そこで本研究では,鶏の上腕部骨格筋における筋線維型構成割合の孵化後の変化を調べるために上腕二頭筋(brachial biceps),上腕三頭筋(humerotriceps)および肩甲三頭筋(scapurotriceps)を用いて組織化学的な検討を行なった.これらの骨格筋はいずれも孵化時にはすでにほとんどII型筋線維で構成されており,I型筋線維は約1%を示すに過ぎなかった.しかし,この少数のI型筋線維は週齢とともに急激に減少し,上腕二頭筋と上腕三頭筋ではそれぞれ2週齢時および5週齢時に完全に消失してしまった.また,この両骨格筋におけるI型筋線維の直径は週齢とともに小さくなった.肩甲三頭筋においてもI型筋線維は顕著な減少を示したが完全に消失することはなかった.また,この筋における筋線維の直径は他の2筋と異なり次第に大きくなった.一方,I型筋線維からII型筋線維への筋線維型の移行を示唆するような染色性を示す筋線維は認められなかった.これらの結果から,鶏の上腕部骨格筋におけるI型筋線維は孵化後の成長過程において退化消失するものと推察された.
社団法人日本畜産学会の論文

鶏上腕部骨格筋におけるI型筋線維の退化消失

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