頭蓋基底長に対する骨の相対的な大きさの発達について : 飼養条件を異にする羊を素材にして
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概要
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この報告は,種々異なつた飼養条件下の羊を材料として,頭蓋基底長に対する骨の相対的な大きさの発達をアロメトリー式y=bxβを適用して観察したものである.あわせて,この発達程度がこれら飼養条件によつて影響を受けるか否かをも検討した.xは標準とする部位でここでは頭蓋基底長,yは比較しようとするほかの部位である.式のβとbはともに常数で前者は相対成長係数,後者は如原成長指数とよばれる.供試羊は月令5ヵ月より11ヵ月のCorriedale種♂,♀それぞれ37頭と15頭を主とし,ほかにこの品種♀にBorder Leicester, Suffolk, Romney Marsh各♂を交配した雑種F1である.計測は屠殺前体重をはじめ頭蓋骨,右後肢長骨の各部位について行なつた.1. 両対数図における点の分布を月令別に検討した結果,本実験の場合,飼養条件の差異は骨の相対的な大きさの発達にほとんど影響をおよぼさないことを知つた.2. 従来の研究結果によれば,骨の成長は一般に,2相アロメトリーを示す.しかし,本実験ではいずれの骨でも単相アロメトリーを示した.おそらく,幼令期の材料がないためと考えられるが,ここでのβは従来の研究の第II成長期に相当するものと思われる.3. 頭蓋基底長に対するほかの骨の部位yの相対的な大ききp=y/xの発達傾向は,αの大小によつて次のようにわけられる.a. α>2 pの月令にともなう増加の仕方は×のそれより大きいもの,体重.骨盤重など重さに関するもの.b. 1<α<2 pは月令にともなつて増加はするがそのテムポは×のそれより小さい.各長骨の周囲(太さ),長さの大部分.頭骨では鼻骨長がこれに属する.c. α>1 pは×の増加につれて減少する.頭骨を形成する部分の骨および長骨の幅.4. 各測定部位におけるαの大小の順は,重さ>周囲(太さ)>長さ>幅であつた.ことに,長骨においても頭骨においてもβの値が長さ>幅であることは,これらの骨が成長にともなつてその形が細長くなることを意味する.そのほかの部位では明瞭な成長階梯がみられなかつた.
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