交配不能牡羊解剖所見
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概要
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15頭の交配不能牡羊を外部的,解剖的,顯微鏡的に観察して次の所見をえた。1) 体重平均は約55kgで発育不良である。2) 外部的には疾病2頭の外に内ゾウに脂肪過多の認められるもの3頭が観察された。3) 内ゾウ異常は疾病と脂肪過多夫々3頭を観察した。4) 生殖器の異常は精巣炎1,精巣小形10,柔軟1,周辺の脂肪過多4頭である。その他に着色副精巣を有するもの6頭が観察された。又精巣の発育は不良で200g以上は7例(5頭)である。5) 精液量は副精巣尾部,輸精管の何れかを通じて正常量を有するものは7例(4頭)で精巣重量200g以上のもののみである。同様に何れかにおいて精液のない個体は8例(4頭)である。しかし精液を欠ぐ個体はない。全体として精液は少い。6) 精液濃度は大部分正常で精子の存在しない個体はない。7) 精子の生存率と活力は12例(8頭)が比較的よく,他は不良である。各部を通じて精子の全部が静止している個体はない。8) 奇形精子は多く殆んど尾部彎曲である。発育不良,肥満,疾病の個体に多い傾向がある。未熟精子も極めて多い。9) 着色副精巣には微小運動体を観察した。10) この観察における交配不能の原因は主に栄養的欠陷が身体の発育不良,疾病,精巣の小形等の異常となり,ついに一時的の交配不能力に至つたものと考えられる。この観察の遂行に当り御援助を賜わつた当時の支場職員各位,殊に胡化南氏に深謝の意を表する。又御校閲を賜つた西田教授に御礼を申上げる次第である。
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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