人工ルーメン法による第1胃内発酵に関する研究 : I. 基質の性質と揮発性脂肪酸(VFA)生成との関係
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概要
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第1胃内におけるVFA生成に及ぼす基質の影響について検討する目的で,in vitroの人工ルーメン法により一連の実験を実施した.実験1:各種単一基質からのVFA生成.セルロース,イネワラ,オーチャードグラス乾草,エンバク,トウモロコシ,および澱粉を基質として供試し2段階の基質濃度(5gおよび30g/300ml)で試験を行なった.VFA産生量は,基質濃度を増加することにより2倍(セルロース)から4倍(トウモロコシ)と増大したが,澱粉のみは僅かながら減少した.VFAのモル比では,プロピオン酸に対する醋酸の比率が,澱粉質基質において低く,セルロースをのぞく繊維質基質では高かった.セルロースでは,この比率が最も低い値を示した.基質濃度を変えることによって,VFAモル比にっいても変動が認められた.実験2:混合基質からのVFAの生成.澱粉とセルロースおよび,オーチャードグラス乾草とトウモロコシを,それぞれ10:0,7.5:2.5,5:5,2.5:7.50:10の比率で混合したものを基質として供試した.混合基質から産生されたVFAのモル比は,各構成基質の混合比率に従って直線的に変化したが,産生量は推計値より高くなる傾向が認められた.実験3:細切乾草と粉砕乾草からのVFA生成.オーチャードグラス乾草を細切したものと粉砕したものを基質として用い,2段階の基質濃度(5gおよび30g/300ml)で試験を行なった.粉砕乾草では,細切したものに比較し,VFA産生量が増加し,VFAモル比ではプロピオン酸,酪酸割合の増加,醋酸割合の低下が認められた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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