山羊の第一胃第二胃の運動機構について : 第II報 X線透視及び間接撮影法による研究
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概要
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1 3-4ヶ月令の仔山羊4頭について,胃洗滌を行なひ,硫酸バリウム澱粉粥をカテーテルを通じて第一胃中に注入し,X線透視法及び連続間接撮影法によつて,第一胃•第二胃運動及び嚥下食塊の流入経路を研究した。2 第二胃の運動は極めて短時間に経過する二拍子の全体的収縮弛緩運動で,最大収縮段階では,殆んどその姿が第一胃中に没する程に強力である。その際第二胃内容物を第一胃中へ抛出する。3 第二胃の弛緩と同時に,第一胃の蠕動的な収縮弛緩が緩慢な速度でなされる。その順序は背部嚢の収縮•腹部後盲嚢の膨大,次いで背部嚢の弛緩•腹部後盲嚢の収縮とが交代的に1回行はれた後原形に復し,長い休止期に移る。この運動は第1報でA型運動と呼称したものに相当する。4 長い休止期後再び第二胃運動-第一胃のA型運動が経過して一旦原形に復した後,殆んど休止期を置かず又第二胃運動を伴はずに第一胃背部嚢の収縮弛緩,腹部後盲嚢の波動的収縮運動がなされて原形に復し,前回より短かい休止期に移る。この運動はA型運動とは明かに運動様式を異にし,第1報でB型運動と呼称したものに相当し,後盲嚢部内容の掻き出し作用が示唆せられる。5 第一胃•第二胃運動の順序は次の通りで,キモグラフ研究結果とよく一致する。第二胃運動-第一胃AB型運動-短い休止期-第二胃運動-第一胃A型運動-長い休止期6 嚥下する固形飼料は,食道溝より第一胃起始盲嚢部に納り,第二胃運動の弛緩時に第二胃中に入り,収縮時に第一胃の奥深く抛出せられる。7 反芻を行はない場合に於ても,第一胃の半流動状になつた食粥は,第三胃を経て第四胃へ移行する。8 流動物を哺乳時の要領で吸飲嚥下する際は,食道溝を経て第三胃•第四胃の進路を取るが,飲水時の如く大のみする際は,悉く第一胃•第二胃へ流入する。
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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