乳牛の分娩前後の乳汁分泌に対する分娩前搾乳の影響
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概要
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乳牛において搾乳刺激および乳汁の排除が,分娩前後の乳腺機能にいかなる影響をおよぼすかについて調べた.供試牛はホルスタイン種5頭で,分娩予定の7日前から左後乳区(実験乳区)を1日1回手搾りした.これに対し,右後乳区(対照乳区)を含む他の3乳区は分娩するまで搾乳しなかった.分娩後は4乳区とも乳区別ミルカーで1日2回の搾乳を行なった.結果を要約すると以下の通りである.1. 分娩前搾乳によって分娩後搾乳乳区(対照乳区)の乳成分の変化にはなんら影響が認められなかった.2. 分娩前搾乳乳区(実験乳区)のカゼイン率および乳清蛋白質率は次第に搾乳開始直後の高値より減少し,これに対して乳糖率は次第に増加した.このような変化は分娩後搾乳乳区においても認められた.3. 分娩前搾乳日数の多い乳区の乳脂肪率は,分娩前後を通して比較的一定であった.これに対して分娩前搾乳日数の少ない乳区および分娩後搾乳乳区にでは,分娩直後急激に増加した.4. 分娩前搾乳日数の多い乳区の乳量は,分娩2〜3日前に急激に増加した.これに対し,分娩前搾乳日数の少ない乳区では,分娩日または分娩後に急激に増加した.5. 分娩後7日以内においては,分娩前搾乳乳区の乳量が,分娩後搾乳乳区の乳量より多かった.しかも,両乳区間の乳量の差は,分娩前搾乳日数の多い乳牛の方が,少ない乳牛より大きかった.6. 分娩前の初乳の排除は,乳区に直接作用し,乳腺を増殖させ,乳量の増加を促がすようである.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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