ミニブタ哺育仔の血清アルカリホスファターゼの特徴
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概要
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ブタの血清アルカリホスファターゼ(ALP)活性は,生後急速に低下することを著者らは見出した.この低下が何によるかを明らかにする目的で,哺育仔と成体の血清ALPアイソザイムを調査し,さらに,それぞれのアイソザイムと肝,小陽および骨のALPの性質を酵素化学的に比較検討した.加齢に伴う血清ALP活性は,出生時に約20B-L単位の高値を示したが,1ヵ月齢では約7B-L単位となり著しい低下がみられた.1ヵ月齢以降の活性値は徐々に低下した.血清ALPアイソザイムは,出生時から約1ヵ月間はデンプンゲル電気泳動法により3本の活性帯がみられ,易動度の速いものからA,BおよびCとした.1ヵ月齢以降はC活性帯だけが残り,加齢とともに活性帯の染色性が低下した.臓器ALPの耐熱性は,哺育仔と成体で同様の傾向を示し,骨,肝,小腸の順に低かった.阻害剤については,哺育仔と成体のいずれもが,小腸のALPはL-phenylalanineに感受性を示し,肝と骨のALPはimidazoleとL-homoarginineに感受性を示した.哺育仔の血清ALPアイソザイムは,C,A,Bの順に耐熱性が低かった.阻害剤については,L-phenyla-lanineに対してA,B活性帯が感受性を示し,imidazoleに対してA,C活性帯,L-homoarginineに対してC活性帯が感受性を示した.成体のC活性帯は,哺育仔のAとC活性帯の中間の耐熱性を示した.阻害剤については,imidazoleとL-homoarginineに対して同程度の感受性を示した.また,L-phenylalanineに対しては抵抗性を示した.以上より,AおよびB活性帯はC活性帯とは性質が異なっており,B活性帯は小腸由来であり,A活性帯は肝に由来する成分も一部含まれるが,多くは小腸に由来すると考えられた.また,哺育仔のC活性帯は骨と肝に由来する成分を含むが,成体のC活性帯は肝由来の成分が主体であり,骨由来の成分は少なくなっていると考えられた.したがって,生後の血清ALP活性の急速な低下は,主として小腸由来のALPの血中からの消失によるものと考えられた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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谷岡 功邦
(財)実験動物中央研究所
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谷岡 功邦
実験動物中央研究所
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谷岡 功邦
財団法人実験動物中央研究所
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谷岡 功邦
(財)実験動物中央研究所生殖研究室
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角田 健司
昭和大学医学部
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安田 幸雄
実験動物中央研究所
-
安田 幸雄
(財)実験動物中央研究所
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