京都府におけるケルセン抵抗性カンザワハダニ発生茶園の薬剤散布歴
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概要
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著者らは前報で京都府の茶園におけるケルセンならびにエストックス抵抗性カンザワハダニの地理的分布について報告した。本報では京都府相楽郡山城町のケルセン抵抗性ダニ発生茶園における薬剤散布歴について調査した結果を報告する。<BR>1.調査園でのケルセンの使用開始は1961〜65年であった。<BR>2,ケルセンの使用開始時にはEPNやフェンカプトンなどの有機リン剤がカンザワハダニ防除のために使われていた。そしてその効果はケルセンも含めて良好であった。<BR>3,しかしながら,一部の茶園では1965〜66年ころからケルセンの効力減退が生じた。この現象はケルセンの使用開始から3〜4年後に現われた。そしてこの期間中におけるケルセンの散布回数は約20〜30回またはそれ以上であった。<BR>そこで調査園におけるカンザワハダニのケルセン抵抗性とケルセンの散布回数との関係を本報と前報の結果でみると,ケルセンの散布回数が10回未満の茶園では抵抗性が弱,約20回では抵抗性が中,そして約30回またはそれ以上では抵抗性が強であった。<BR>4,ケルセンの使用開始から効力低下までの間には多くの種類の薬剤が使用されてきたが,ケルセンの散布回数が特に多かった。<BR>5,1967年現在,ケルセン抵抗性ダニ防除のために依然としてケルセンを使用している。しかしながら,その効果は十分でない。<BR>ケルセン抵抗性ダニの防除にアクリシッドが有効のようであるが,この薬剤は茶の若葉に薬害が生ずるために茶芽の生育期間には使用できない。<BR>6,調査園のカンザワハダニはケルセンのほかにフェンカプトン,EPN,そしてパラチオンなどの有機リン剤に対しても抵抗性をもっている。そのために有機リン剤とケルセンの複合抵抗性の発現が考えられる。しかしながら,有機リン剤とケルセンとの間の交差抵抗については明りょうではなかった。<BR>7,以上の結果から,調査園におけるカンザワハダニのケルセン抵抗性の発達は,ケルセンの過重散布に起因するものと考える。
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