ホルスタイン種牛の肝臓および腎臓の亜鉛濃度におよぼす給与飼料の亜鉛含量の影響

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ホルスタイン種牛の体内における亜鉛濃度におよぼす給与飼料の亜鉛含量の影響について検討した.1. 九州農業試験場および熊本県内の酪農家で飼養されていた37頭のホルスタイン種牛の,生体試料の亜鉛濃度を調べた.初生子牛2頭と1ヵ月齢の子牛1頭の肝臓および腎臓の亜鉛濃度は,それぞれ377〜576および83〜114ppmの範囲にあったが,14頭の成牛のそれらはそれぞれ116〜341および86〜131ppmの範囲にあった.給与飼料のうち,粗飼料の亜鉛濃度は配合飼料のそれよりも低い値を示した.しかし,肝臓,腎臓および血液の亜鉛濃度は,給与飼料中の亜鉛含量に影響されなかった.このことから,牛は必要量よりもやや少ない亜鉛を給与されていても,牛の体内の亜鉛濃度はほぼ一定に維持されるものと推察される.2. ホルスタイン種泌乳牛2頭を用い,1日当たり亜鉛5gを硫酸亜鉛として配合飼料に混ぜて,4週間にわたって経口投与した.亜鉛投与牛の組織の亜鉛濃度は,非投与牛のそれとほぼ同じ値を示した,また亜鉛投与期のふんの亜鉛濃度は,投与開始前および投与終了後のそれよりも非常に高い値を示したことから,投与した亜鉛の大部分はふん中に排泄されたものと考えられる.日畜会報,55(3):183-190,1984
社団法人日本畜産学会の論文

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