トウモロコシサイレージの開封後の好気的変敗防止のための2種類の添加剤の効果
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概要
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糊熟期および完熟期のトウモロコシを用いてバッグサイロによってサイレージを調製し,添加剤の使用が開封後の好気的変敗を防止する効果を調べた.添加剤としては,カプロン酸(10mmol/kg),カプロン酸+塩酸(6N-HCl,20ml/kg),および市販の添加剤(ギ酸カルシウム75%,安息香酸ナトリウム10%,重亜硫酸ナトリウム10%およびミネラル5%を含む.MK剤と略す)0.25%を用い,詰込み時に添加する区と開封時に添加する区とを設けた.開封後のサイレージを発泡スチロール製の円筒形断熱容器(径30cm,深さ27cm,厚さ1.5cm)に詰め,表面を空気に曝して,約25°Cの室内に7日間放置し,この間のサイレージの温度の経時的変化を調べ,また開封時と7日後のサイレージのpH値と有機酸組成,あるいは酵母とカビの菌数を測定して,変敗の有無を判定した.その結果,材料の異なる2回の実験とも同様に,無添加の対照サイレージでは,温度とpHの上昇が起こり,酵母数が増加して明らかに変敗したのに対し,開封時にカプロン酸あるいはカプロン酸+塩酸を添加した区ならびに詰込み時にカプロン酸を添加した区においては,開封後7日間にわたって温度の上昇が認められず,好気的変敗は防止された.一方,詰込時にカプロン酸+塩酸を添加した区では,pHの上昇は認められず,2.8〜3.2であったにもかかわらず,温度は上昇し酵母数も増加して,変敗を完全に防止することはできなかった.MK剤については,詰込み時添加では効果が十分に認められず,開封時添加によって7日間にわたり変敗を防止することができた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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