サイレージの好気的変敗の際の品温,ガス代謝量および熱発生量と微生物相の相互関係
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概要
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黄熟期および完熟期のとうもろこしサイレージを用い,サイロ開封後,対照区とプロピオン酸100mmol/kg添加区に分けて,断熱容器に詰め,23°Cに調温した呼吸試験用チャンバー内に,処理区ごとに好気的条件で6日間放置し,この間の品温,ガス代謝量,熱発生量,pHおよび浸透圧の変化,ならびに微生物相の遷移を調べた結果,次の知見を得た.1) サイレージ品温の変化は,ガス代謝量および熱発生量の経時的推移と相互によく対応した.発熱が生起した状態の呼吸商は,1に近似し,変敗が,微生物呼吸による炭水化物の完全酸化に伴う現象であることが推測された.2) 変敗の発現を判定する方法の一つとして,水抽出液浸透圧値の変化をみることが有効であることを認めた.3) 対照区の初期発熱および添加区の発熱には,酵母が関与した.しかし,優占種は材料により異なった.発熱ピーク時の酵母の生育期は,対数期の後期と静止期との中間に位置した.4) 対照区の細菌の増殖は,酵母が増殖する際に,有機酸を消費することにより誘発される可能性が推察された.5) 添加区の酵母フローラの遷移は,各菌種間ならびに菌種内細胞間のプロピオン酸抵抗性の差によって生ずると考えられた.6) 変敗により6日間にサイレージから消失する熱量は,乾物1kg当り対照区で1.53〜2.64MJ,添加区で0.31〜1.40MJであった.また,対照区の全発生熱量に占める初期発熱の割合は,約43%であった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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