透析期間の長期化が血液透析患者の運動機能に及ぼす影響について
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概要
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研究背景 : 薬物治療や血液濾過装置の進歩により, 長期間の血液透析歴を有する患者の割合が増加したため, 患者のactivities of daily living (ADL) やquality of life (QOL) の維持・向上が患者管理における目標になってきた. 運動機能の低下はADLやQOLの主な規定因子であるが, 加齢や身体活動量とは独立して, 血液透析期間の長期化そのものが運動機能を増悪する因子か否かは未だ一定の見解が得られていない. 目的 : 透析期間の長期化が血液透析患者の運動機能の低下に関与するか否かを検討し, 血液透析患者における運動機能の経年的変化を明確にする. 方法 : 外来通院している血液透析患者73例 (年齢62±11歳) を対象に, 透析期間によりA群 (透析期間<5年), B群 (5年≦透析期間<15年), C群 (15年≦透析期間) の3群に分類した. 患者背景因子として, 年齢, body mass index, 透析期間, 血液ヘマトクリット値とヘモグロビン値, 血清アルブミン値を診療録より調査した. また, 加速度計測装置付歩数計にて身体活動量を測定し, 腎疾患患者の疾患特異的QOL尺度であるKidney Disease Quality of Life Short Formから血液透析療法に伴う症状の重症度の指標として「症状」, ADLの指標として健康関連QOLの下位尺度である「身体機能」を調査した. 運動機能は, straight leg raising, 等尺性膝伸展筋力と握力, functional reach, 10m最大歩行速度をそれぞれ身体の柔軟性, 筋力, バランス, 歩行機能の指標として測定した. 統計学的解析は, 各運動機能の3群間の比較に一元配置分散分析および目的変数を各運動機能, 説明変数を患者背景因子, 身体活動量および症状の重症度を共変量とした共分散分析を行い, 有意水準は5%未満とした. 結果 : 握力は, C群がA群にくらべて有意に低値を示した (p<0.05). 透析期間の影響を明確にするため年齢と身体活動量の因子を除外すると, 握力以外の運動機能は透析期間の長期化によって低下し (p<0.05), 特にC群の歩行機能は他の群にくらべて有意に低値を示した (p<0.05). 結論 : 透析期間の長期化そのものが運動機能を低下させる因子となり, 特に15年以上に及ぶ長期血液透析患者では運動機能が著しく低下することが示された.
- 社団法人 日本透析医学会の論文
著者
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松永 篤彦
北里大学医療衛生学部
-
福田 倫也
北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科
-
齊藤 正和
北里大学大学院医療系研究科
-
松永 篤彦
北里大学大学院医療系研究科
-
吉田 煦
さがみ循環器クリニック
-
松永 篤彦
北里大学医学部附属病院 心臓リハビリテーション室
-
増田 卓
北里大学医療衛生学部
-
増田 卓
北里大学医学部附属病院 心臓リハビリテーション室
-
齊藤 正和
財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院心臓リハビリテーション室
-
齊藤 正和
(財)日本心臓血圧研究振興会付属榊原記念病院
-
齊藤 正和
北里大学 医療衛生学部 リハビリテーション学科 理学療法学 専攻
-
福田 倫也
北里大学医療衛生学部
-
横山 美佐子
北里大学医療衛生学部
-
横山 美佐子
北里大学 大学院医療系研究科
-
齊藤 正和
北里大学大学院医療系研究科循環器内科学
-
増田 卓
北里大学医学部救命救急医学
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