急性期心筋梗塞患者の機械トレーニングに対する適応の検討 : 心臓リハビリテーションにおける自転車エルゴメータの早期導入について
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概要
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急性心筋梗塞(AMI)の予後を予測するためトレッドミルやエルゴメータによる運動負荷試験の報告は多いが,機械を用いたトレーニング(機械リハ)を心臓リハビリテーションに導入するための詳細は未だ明確ではない。本研究の目的は,AMI患者の入院早期に機械リハを導入する際の機械トレーニングに村する適応を検討することである。AMI患者88例(62.0±11.3歳)を対象に,病棟でのリハビリテーション(病棟リハ)と機械リハ導入期に分けて,リハビリテーション進行基準(リハ進行基準)を逸脱する症例の背景因子について検討した。さらに,機械リハ導入時のAMI患者23例(62.7±9.2歳)に対してエルゴメータを用いた機械リハを同一負荷(10〜15 watts,10分間)で3日間施行(低負荷トレーニング)して,負荷中の心拍数(HR),収縮期血圧(SBP),二重積(RPP)の変化を評価し,状態-特性不安検査(STAI)を用いて患者の心理状態を機械リハ開始前と退院時で比較した。リハ進行基準を逸脱する頻度は,病棟リハで23.9%,機械リハ導入期は42.0%で,病棟リハに比べ機械リハで逸脱の額度が有意に高かった。また,低負荷トレーニングで第1日目にリハ進行基準を逸脱した症例は11例,48.0%(逸脱群)で,逸脱の項目はすべて血圧上昇であった。逸脱群は非逸脱群に比べ高齢者が多く,歩行開始日が有意に遅延するとともに左室駆出率の有意な低下とcreatine kinase最高値の有意な上昇を認めた。低負荷トレーニングにおけるSBPとRPPは,初回のトレーニングで最も上昇するが,逸脱群における過剰な血圧上昇は3日目には軽度となりリハ進行基準に合致した。逸脱群のSTAIでは,機械リハ施行前と比較して退院時の状態不安が改善した。機械リハ導入時にリハ進行基準を逸脱する要因として,高齢者あるいは心機能低下症例のデコンディショニングが考えられ,さらに機械リハに対する患者の心理的不安が関与すると思われた。機械リハ導入期では,低負荷による訓練を行い機械リハへの適応を確認してから,段階的にリハビリテーションプログラムを進める必要があることが示された。
- 北里大学の論文
- 2000-12-31
著者
-
松永 篤彦
北里大学医療衛生学部
-
和泉 徹
北里大学循環器内科学
-
和泉 徹
北里大学医学部附属病院
-
和泉 徹
北里大学 医学部循環器内科学
-
和泉 徹
北里大学医学部附属病院 心臓リハビリテーション室
-
松永 篤彦
北里大学医学部附属病院 心臓リハビリテーション室
-
増田 卓
北里大学医療衛生学部
-
増田 卓
北里大学医学部附属病院 心臓リハビリテーション室
-
中村 彩
北里大学医療衛生学部
-
中村 彩
北里大学医療衛生学 リハビリテーション科 理学療法学専攻
-
和泉 徹
北里大学医学部内科
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