TACEを先行した内視鏡的ステント留置が有用であった肝細胞癌胆管浸潤の1例
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概要
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症例は68歳男性.C型肝硬変,多発肝細胞癌に対して肝動脈化学塞栓療法(transcatheter arterial chemoembolization:TACE)を繰り返していたが,2004年9月に腫瘍が左肝管内に浸潤を来たし化膿性胆管炎を併発した.左肝管の狭窄部に内視鏡的にplastic stent(PS)を留置し胆管炎は軽快したが,わずか23日で留置したPSが逸脱した.胆管炎再発を防ぐためにexpandable metallic stent(EMS)の留置を考えたが,出血などの合併症防止の目的で左肝管内に浸潤した腫瘍に対するTACEを先行させた.その後PSを抜去し,総肝管から左肝管にかけて8 mm径,80 mm長のS.M.A.R.T. Nitinol StentTMを留置した.2005年6月(初回のステント留置から309日後)に繰り返す発熱のため再度入院となった.computed tomography(CT)にて左葉B3の末梢に多発膿瘍形成が認められ,腫瘍のovergrowthに伴う胆管狭窄が原因と考えられた.このため前回留置したステントの上流にS.M.A.R.T. Nitinol StentTM,8 mm径,80 mm長の留置を追加した.本症例は2006年4月に肝不全で永眠されたが,それまでこのステントは開存しておりその間に感染や閉塞などの合併症は認めなかった.肝細胞癌は易出血性の腫瘍であるためEMS留置には出血や早期閉塞のリスクがあるとされるが,ステント留置前にTACEを行うことで出血やEMS閉塞を防ぐことができたと考えられた.
著者
-
竹平 安則
県西部浜松医療センター消化器科
-
山崎 哲
県西部浜松医療センター 消化器科
-
岩岡 泰志
県西部浜松医療センター 消化器科
-
影山 富士人
県西部浜松医療センター 消化器科
-
小林 良正
浜松医科大学医学部第二内科
-
竹平 安則
県西部浜松医療センター 消化器科
-
竹平 安則
県西部浜松医療センター 内視鏡科
-
吉井 重人
県西部浜松医療センター 消化器科
-
魚谷 貴洋
県西部浜松医療センター 消化器科
-
小林 良正
浜松医科大学 第二内科
-
山田 正美
県西部浜松医療センター 内視鏡科
-
千田 剛士
県西部浜松医療センター消化器科
-
本城 裕美子
県西部浜松医療センター消化器科
-
高井 哲成
県西部浜松医療センター消化器科
-
末廣 智之
県西部浜松医療センター消化器科
-
鏡 卓馬
県西部浜松医療センター消化器科
-
鈴木 聡
県西部浜松医療センター消化器科
-
吉井 重人
県西部浜松医療センター消化器科
-
本城 裕美子
県西部浜松医療センター 消化器科
-
影山 富士人
浜松医療センター消化器科
-
小林 良正
浜松医科大学医学部内科学第二講座
-
山田 正美
県西部浜松医療センター消化器科
-
岩岡 泰志
県西部浜松医療センター消化器科
-
山崎 哲
県西部浜松医療センター消化器科
-
魚谷 貴洋
県西部浜松医療センター消化器科
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