スポンジケーキの物性に及ぼすトランスグルタミナーゼの影響
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概要
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本研究では, タンパク質架橋重合化酵素であるトランスグルタミナーゼ (以下, MTGと略す) に着目して, スポンジケーキの調製工程における有用性について検討した. その結果, スポンジケーキの要件を満たすことが可能となり, 以下のような有用性をみることができた.(1) MTGによりスポンジケーキの比容積の向上が図れた.i) MTG 0.5u/gp〜5.6u/gp最も効果を発現された. 14u/gpでは比容積の減少がみられた. ii) MTGと他の改質材0.5%との併用においては, 乳化剤, 増粘多糖類, 小麦タンパク分解物の順に作用性が高く得られた. iii) MTG 1.4u/gpと乳化剤0.2%の併用において, MTG単独に対して, 約1.2倍の比容積を得た.(2) MTGの添加により, スポンジケーキの上面の凹みや, 皺もみられず形状の整ったスポンジケーキが得られた. i) MTGの最適添加量は0.5〜1.4u/gpであった. ii) 2.8u/gp以上では表皮部がやや硬くなる傾向を示したが, 乳化剤, 増粘多糖類0.2%との併用において, 保形性のよいクラムが形成され, 気泡がよくのびて, しっとりして柔らかい食感が得られた.(3) 破断試験による物性評価では, 無添加に対して, MTG 1.4u/gp添加において破断強度が高くなり, 破断距離ものびたことから, 弾力と柔らかさが向上する傾向が得られるものと推定された.(4) SDS-PAGEからも低分子グリアジン画分の減少が認められた. これらのことからMTGによるスポンジケーキの有用性および主な反応基質タンパク質などが示唆された.
- 社団法人 日本食品科学工学会の論文
- 2005-05-15
著者
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上田 要一
味の素(株)調味料研究開発部
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山崎 勝利
(株)あじかん研究開発センター
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山崎 勝利
(株)あじかん 研究開発センター
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鳴戸 康
味の素(株)商品開発センター
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上田 要一
味の素(株)商品開発センター
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