炭素税が木造住宅建築需要に与える影響 : 構造別住宅建築需要体系の推定とシミュレーション
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概要
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構造別住宅建築需要体系の推定を行い、これに基づいて、炭素税の導入が木造住宅建築需要に与える影響の予測を試みた。構造別の住宅建築需要体系を線形近似AIDSを用いてモデル化し、資料に建築着工統計の居住用建築物構造別着工床面積及び工事費予定額を用い、42都道府県別に24年間の年次時系列データを用いてモデルの推定を行った。その結果、多くの都道府県に共通して、木造住宅建築需要は価格に対して非弾力的で、支出への弾力性はほぼ1であることが分かった。次にこの推定結果を用いて、炭素税導入の影響を予測した。1997年時点で3-30千円/Ctの炭素税が製造時炭素放出量に課税されたと想定したシミュレーションを行った。炭素税の影響は、炭素税導入に対して家計が住宅建築への支出をどの程度変化させるかに依存するが、いずれにしろ、木造住宅建築の需要増は小さいものと見込まれた。I estimated the house construction demand system by structural type, and then used its results to simulate the effect of the possible carbon tax introduction to Japan on wooden house construction demand. A demand system was specified as the linear approximation of Almost Ideal Demand System (LA/AIDS), which was estimated for each of 42 prefectures separately using the 24 year long time-series data from the Statistics of Construction Undertaken. The results suggested that for most prefectures the demand for wooden house construction was price inelastic and its expenditure elasticity was very close to 1. Then I used the estimation results to simulate the effect of carbon tax. 3-30 thousands Yen per carbon ton of the tax as of 1997 was assumed in the simulation. Although it was found that the effect on wooden house construction depended on the amount of the households' adjustment of the total expenditure on house construction when facing the introduction of carbon tax, the estimated effects were generally small regardless of the amount of the adjustment.
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