山村出身者の居住地移動と森林所有 : 三重県宮川村大杉谷地区を対象として
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
高度経済成長期以降、農山村から都市への人口流出が進んだ結果、森林所有者の居住地は分散化・広域化する傾向にある。この森林所有者の居住地の分散化・広域化は、出身山村に残された所有森林の管理の仕方や程度に影響を与えることが予想される。そこで本研究では、三重県宮川村大杉谷地区にある小学校の50年間の卒業生全員を対象に行ったアンケート調査をもとに、居住地移動と森林所有との関わりを調べた。その結果、(1)高度経済成長期には居住地移動に与える森林所有の影響が薄れたものの、安定成長期には近隣都市圏所有者が増加する形で森林所有の影響が現れてきたこと、(2)森林所有者の所有森林に対する知識の程度は、在村所有者と不在村所有者とでは大きく異なるが、不在村所有者の中では近隣都市圏居住者と遠隔地居住者の間に差がないこと、(3)近隣都市圏に居住する森林所有者には「管理するつもりはないが所有し続ける」という意向が特徴的に見られること、が明らかになった。不在村所有者問題に対処するには、このような近隣都市圏に居住する森林所有者の性格をふまえた上で対応する必要性があることが示唆された。
- 林業経済学会の論文
- 2000-07-15
著者
関連論文
- 国産針葉樹製材用素材市場と林業労働力市場の同時方程式体系の構築
- 特集 林業経営の展開と労働問題--その担い手像 森林組合における内勤従業員の職務と待遇--民間事業体従業員と現業従業員との比較において
- 間伐遅れと実質立木価格 : 初回間伐までの経過時間の比例危険率モデルによる分析
- 山村集落における伝統的景観保存への住民の反応--京都府美山町における伝建地区の指定を事例として
- 林業は森林の転用を抑制しうるか?
- 宮崎県における民有人工林素材生産の活発化と再造林放棄(テーマ : 南九州の大規模皆伐・再造林放棄にみる林業構造問題,2007年春季大会論文)
- 都市近郊におけるたけのこ生産の経営転換と存続要因--京都府乙訓地方を事例として
- 炭素税が木造住宅建築需要に与える影響 : 構造別住宅建築需要体系の推定とシミュレーション
- 人口林の成熟が立木市場に与えた影響--スギ立木市場の計量経済分析
- 林業経営体の木材価格への反応 : ある林家の長期にわたる伐採記録の分析
- 兼業林家における自家労働投下量の決定と世代交代
- 山村出身者の居住地移動と森林所有 : 三重県宮川村大杉谷地区を対象として
- 伐採齢分布を用いた森林所有者の伐採行動への接近(統一テーマ:転換期における林業経済研究の課題,1999年春季大会論文)
- 製材工場の生産性分析 : 国産材工場の経営戦略への接近
- 日本の林産物輸入の最近の動向
- 新に設立した九州森林学会の課題(北から南から,Information)
- 若者定住住宅の意味とさらなる定住化に向けて : 高知県を事例に
- 新たに設立した九州森林学会の課題
- 新生産システム政策の展開と帰結(後編)(林業経済研究所座談会)
- 新生産システム政策の展開と帰結(前編)(林業経済研究所座談会)
- 森林組合における内勤従業員の職務と待遇 : 民間事業体従業員と現業従業員との比較において(林業経営の展開と労働問題-その担い手像-)
- 炭素税が木造住宅建築需要に与える影響 : 構造別住宅建築需要体系の推定とシミュレーション
- 人工林の成熟が立木市場に与えた影響 : スギ立木市場の計量経済分析
- 都市部への人口集中が住宅着工における木造率に与える影響 : 宮崎県を事例として
- 研究会のあらまし(若年労働者の林業への新規参入,1998年度西日本林業経済研究会報告)