耐酸性糸状菌によるアルコール蒸留廃液濃縮物からの高力価ペクチナーゼの生産
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概要
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1. 耐酸性糸状菌400株の中からポリガラグツロナーゼ生産能の高い菌株を選び出し,その菌学的諸性質を検討した結果,Penicillium thomii series に属する菌株であることを同定し,Penicillium thomii SAB 901-167と命名した。 2. 本菌のポリガラクツロナーゼ生産条件について検討した結果,サングロス液(大麦アルコール蒸留廃液の濃縮液)の25%濃度の培地が最も生産量が高く,固体培養の小麦フスマに匹適する好材料であることを明らかにした。この培地を用いた場合,他の炭素源や窒素源を添加してもあまり酵素生産量は増加せず,ペクチン酸や硫安の添加よりかえって生産量は激減した。また,培地のpHを2.5~3.5とした場合に生産量は最も高かった。 3. 本菌のポリガラクツロナーゼをSP-Sephadex C-50 カラムクロマトグラフィーにより精製し,電気泳動的に単一の標品とした。この精製酵素の分子量は約34,000であり,ペクチン酸に特によく作用するエンド型のポリガラクツロナーゼであることが分かった。 4. 酵素的な諸性質は最適 pH 5.0,最適温度 50℃,pH 安定性4.0~7.5および熱安定性は 30℃であり,他の市販のペクチナーゼ (Aspergillus niger, Conithyrium idplodiella, Fusarium moniliforme 由来) と較べてかなり不安定な酵素であることが分かった。A fungus which is capable of producing high level of pectinase (Polygalacturonase) from distillers' soluble was selected among 400 strains of acid-resistant fungi. The fungus was found to belong to Penicillium thomii on the basis of taxonomic observations and named Penicillium thomii SAB 901-167. The effects of culture conditions on the galacturonase production by the fungus were studied. 25%"SANGUROSU"(a distillers' soluble from Suntory Limited) liquid (pH3.5)was the best condition for the enzyme prcduction. The enzyme was purified by acetone precipitation, Sephadex G-50 gel filtration and SP-Sephadex C-50 column chromatography. The purified enzyme was homogenous in polyacrylamide gel electrophoresis. The molecular weight of the enzyme was estimated to be 34,000. Optimum pH and temperature of the enzyme activity on pectic acid were found to be pH5.0 and 50℃. The enzyme was unstable at below pH3.5 and at above pH8.0 (30℃, 17hr), and its activity was gradually lost by standing at 40℃(pH5.0).
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