亜熱帯・熱帯海域、亜寒帯海域および南極海域植物プランクトン群集の水温適応パターンの比較
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概要
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Carbon incorporation rate of natural phytoplankton communities in the Southern Hemisphere was measured using 14C radioisotope under different temperature conditions including at in situ temperature. Photosynthetic activity of both the subtropical/tropical and the subantarctic regions decreased with raising and lowering of incubation temperature, i.e., the communities north of the Polar Front attained the maximum photosynthetic activity at in situ temperatures. However, the decreasing trend in the calculated assimilation number at raised and lowered temperature was different between the subtropical/tropical and the subantarctic communities; the former showed a sharp decrease than the latter. These results may reflect the difference in seasonal temperature variation of each latitudinal sea region; usually stable temperature condition is expected in the subtropical/tropical region, while there exist relatively a large seasonal temperature variation in the subantarctic region. On the other hand, the photosynthetic activity of antarctic phytoplankton community south of the Polar Front increased ca. 1.5 times with raising of incubation temperature up to ca. 10°C compared to those at in situ temperature. This implies that photosynthesis of the antarctic phytoplankton is suppressed by the ambient sub-zero temperature. It can be concluded that phytoplankton communities in the respective regions in the Southern Hemisphere are considered to have been adapted to the respective environmental temperature conditions.南半球の植物プランクトン自然群集の炭素同化速度を、放射性同位体元素14Cを用いて、現場水温を含む異なる温度で測定した。亜熱帯・熱術海域および亜寒帯海域の植物プランクトンの光合成活性は、混度を上げた場合でも下げた場合でも低下した。すなわち、極前線の北の群集は現場水温において最大光合成活性を示した。しかしながら、温度の上下にともなう光合成指数の低下傾向は、亜熱帯・熱帯海域と亜寒帯海域の群集では異なり、後者に比べて前者で急激であった。これらの結果は、各海域における水温の季節変動の違いを反映しているのかもしれない。すなわち、水温は亜熱帯・熱帯海域では年間を通して比較的一定しているのに対して、亜寒帯海域では季節変動が大きい。一方、極前線南の南極海域植物プランクトン群集の光合成活性は、現場水温よりも温度を10℃上げることによって1.5倍になった。このことは、南極海域の植物プランクトンの光合成は0℃以下にもなる低い環境水温によって抑制されていることを示している。南半球におけるそれぞれの海域の植物プランクトン群集は、それぞれの水温環境に適応してきたと考えられる。
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