軽度の要介護高齢者に対する定期的な運動指導の効果
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概要
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本研究の目的は、軽度の要介護高齢者に対して、虚弱高齢者向け運動プログラムを定期的に指導することによって、身体的(運動機能)、社会的(日常生活活動量)、心理的(運動意欲)な効果について検討することであった。対象は、M県内の通所介護・居宅介護支援施設Aを利用している要支援から要介護2に該当する69歳〜91歳の高齢者5名であり、12週間、全12回、週1回の頻度で運動指導を行った。運動指導前後で、形態計測(身長、体重、BMI、左右の大腿前部の筋厚)と運動機能測定(握力、椅子座り立ち時間、開眼片足立ち時間、ファンクショナルリーチ、足関節底・背屈角度)を実施した結果、対象者の形態及び運動機能測定値に有意な変化は認められず、廃用性の筋萎縮や運動機能低下を防げることが確認された。個別にみると、5名中4名に左右の大腿前部における筋厚の増加と足関節底屈・背屈角度の拡大、椅子座り立ち時間の短縮がみられたことから、運動指導の頻度と期間をさらに増やせば、日常での身体活動量が少ない軽度の要介護高齢者の運動機能維持だけでなく、機能向上も期待できる可能性が示唆された。さらに、身体活動量が少なく、運動に不慣れな軽度の要介護高齢者に対して、定期的な運動指導をおこなう際には、自立した高齢者以上に運動に対する意欲を維持・向上させるための支援が必要であることが示唆された。
- 2014-03-31
著者
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