九州山村地域における消防団組織の現状と課題 : 消防団員の就業構造に着目して
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概要
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近年大規模災害が発生する中で,過疎・高齢化が進む山村において,いかに地域の安全を守るかが課題となっている。消防団は山村の地域防災の中核に位置付けられ,団員は職業を持ちながら,平時の訓練,有事の際の消火,災害復旧,住民の避難誘導などを担っている。本研究では山村における消防団の実態と課題を明らかにするため,九州山村の3地域を対象に行政資料の収集と団員へのアンケートを実施し,職業別に活動参加実態を考察した。その結果,団員の不足や高齢化の下で,役場職員やOB団員に活動の依存度が高まる傾向を把握した。農林業従事者の団員の比率は35%以下であるが,土建業従事者と共に災害時の出動回数が多かった。地域別にみると,近隣都市への通勤圏にある球磨村では職種や勤務地が多様化し,加入率が他よりも低かった。奥地山村である諸塚村では,出動の中心が役場勤務の団員へと移行し,自治公民館単位に消防団OBからなる消防支援隊が組織されていた。そして広域合併市の五家荘地域では,土建業,林業に従事する団員を中心に住民一体となって活動を実施しているが,行方不明者の捜索への出動が増加し,消防団員の負担が大きいなどの特徴が明らかとなった。
著者
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