大規模アブラヤシ農園開発に代わる「緩やかな産業化」の可能性 : 東カリマンタン州マハカム川中上流域を事例として
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概要
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本稿では、PIR制度によるアブラヤシ農園開発計画を受けた東カリマンタン州マハカム川中上流域の地域発展戦略を検討した。PIR制度による大規模アブラヤシ農園開発は、地域社会に経済的波及効果をもたらすが、広大な慣習地の提供を迫り、地域社会に強いる負担が大きい。一方、本地域では住民による自主的なゴム植林、モルッカネム植林が進み、UPP制度によるゴム園開発が積極的に受け入れられようとしている。それは人々の伝統的生業、森林との共生関係を保ちながら、所得源の多様化と集約化による地域経済の発展を図る「緩やかな産業化」への道である。世帯を対象とする家計調査およびキーインフォーマントや一般住民への聞き取り結果より、当該地域では後者のメリットが大きいという結論を得た。ただし集約的農園の収益性によって生起される人々の農園拡大の経済合理的インセンティブを抑制し、いかに「コモンズの再構築」を実現するかは今後の課題である。
- 2010-10-20
著者
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