精神保健福祉相談で近隣苦情が出た人の支援に向け家族を支援するための課題分析の視点
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概要
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【目的】自治体の精神保健福祉相談を担当する保健師あるいは福祉職が,近隣苦情が出された人の支援に向けて,その人の家族を支援するための課題を分析する視点を明らかにする.【方法】3中核市保健所で精神保健福祉相談に対応する保健師あるいは福祉職12名を対象とし,「住民からの苦情相談や情報提供(近隣苦情)」が支援に結びついた事例と結びつかなかった事例,各1例の計24事例への対応の判断と支援に結びつける工夫に関し,半構成的個人面接調査を行った.逐語録を作成し,家族への支援内容を示す文脈を分析単位として,行動と意図・理由を含めて支援内容を要約し,類似性と相違性をもとに,課題分析の視点をカテゴリー化した.分析結果について,先行文献による知見との整合性および実践への適用性を検証し,妥当性の確保に努めた.【結果】(1)家族支援の課題分析の視点として,40分析単位から,14サブカテゴリー,7カテゴリー【 】を導いた.精神保健福祉職は家族支援に向けて,【本人の病状に対する家族のとらえ方】,【家族の受診援助の役割に関する認識】,【家族の受診援助役割遂行の力量】,【保健所と家族との関係性構築の現状と可能性】を検討し,課題を導いていた.さらに,【必要な医療行動に関する家族間の認識の一致性】を評価し,家族支援に繋げるために【受診援助行動に対する家族の動機付け】を行いながら評価し,地域生活の継続のために【家族成員各々の地域生活の継続性と家族として各々が担いうる役割の探索】を検討し,対応していた.【結論】【家族成員各々の地域生活の継続性と家族として各々が担いうる役割の探索】,【必要な医療行動に関する家族間の認識の一致性】は先行文献に示された課題分析の視点にはみられず,新たに得られた課題分析の視点である.これらを含めて7つのカテゴリーは,先行文献による知見をもとに家族支援における必要性が説明できたことから,根拠にもとづく課題分析の視点といえる.精神保健福祉相談に対応する保健師あるいは福祉職は,近隣苦情が出され,精神疾患が疑われる人を医療に結び付けるとともに,家族成員各々が役割を担い,家族機能を維持して地域生活を継続することを意図し,家族支援を行っていると考える.
- 2012-04-00
著者
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