要介護認定における認定調査員の判断基準の解釈を共有化するしくみづくり-コンピュータネットワークと会議を活用して-
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概要
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目的:政令指定都市A 市の介護認定調査員(以下調査員)が的確な介護認定調査を実施するために,認定調査の判断基準の解釈のバラツキをなくし,共有するしくみをつくる.実施方法:市役所において要介護認定を統括する保健師がリーダーとなり,各区で認定調査を行い,かつ調査員を指導する立場の保健師6 人と介護福祉士9 人(以下メンバー)としくみづくりを行った(2008 年4 - 10 月).情報保護の観点から,A 市情報システム課が管理し,パスワードを設定したコンピュータネットワーク上に,各区役所からアクセス可能なファイル「A掲示板」及び「B掲示板」を作成した.メンバーが調査項目の判断に関する疑問や意見を「A掲示板」に記入し,その内容に基づいて保健師・介護福祉士合同会議(以下会議)で判断基準の解釈を多面的に検討し,認定調査員テキストや県担当部署と整合性を確認した上で,共有を図った.リーダーは,メンバーが互いの意見とその理由を十分に表出し,意見の違いの要因を明らかにするように働きかけ,合意した事項を他の調査員に周知するため「B 掲示板」に記載した.結果及び考察:「A掲示板」には,認定調査項目に関する質問25 件,それらに対する意見が49 件記入された.内容の例は「意思の伝達」について,理解しがたい内容の話でも自分の言いたいことを伝えることができると判断するのか,また「薬の内服」について,薬の認識はあるが,時間や回数の認識はなく薬を口に入れてもらい,水は自分で飲む時の判断はどうするのかという判断基準の解釈等についてであった.掲示板上と会議において,メンバーは互いの判断基準の解釈を述べ合い理解することで,自分の意見を見直し,確認あるいは修正して,納得した判断基準の解釈を共有した.共有した事項は「B掲示板」に記載し,他の調査員に周知した.これは,意見とその理由の共有を重視する合意形成の過程と考えられた.また,新しい知識を,蓄積された経験と関係づけることによって,理解が促進または阻害される成人学習者の特徴に即した過程でもあった.こうした過程を含むしくみは認定調査を的確に実施し平準化するために有効と考えられた.定期的な見直しが行われ,常に個別性による判断の難しさが伴う認定調査の質保証を担う者は,本しくみづくりのような継続的に認定調査の平準化の取り組みを行う必要があると考える.
- 国立保健医療科学院の論文
著者
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緒方 泰子
千葉大学大学院 看護学研究科 看護システム管理学専攻
-
吉本 照子
千葉大学大学院看護学研究科
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緒方 泰子
千葉大学大学院看護学研究科看護システム管理学専攻地域看護システム管理学領域
-
櫻庭 けい子
千葉市介護保険課
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