CLIL(内容言語統合)型学習英語教材と教師用マニュアルの評価
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
CLIL(Content and Language Integrated Learning)型学習は,教科を非母語で教えることにより,内容と言語を同時に学ぶ効率のよい学習法と考えられている。CLIL型学習の特徴は,4つのCで始まる要素,すなわちContent(内容), Communication(コミュニケーション/言語), Cognition(思考/認知), Culture(文化/協同)を有機的に統合して教えることにある。日本の英語教育にCLIL型学習の導入の可能性を考えるためには,CLIL型学習の教材の特徴を探ることが必要である。本論では,CLIL型学習と非CLIL型学習の教材を4Cの観点から比較分析し,特に,Cognitionについてはアクティビティと発問の認知プロセスの次元をBloomのタキソノミーの改定版を使って分析する。分析対象としては,CEFRのA1レベルのCLIL型学習の英語教材と付属の教師用マニュアルを取り上げ,そのアクティビティと教師の発問の特徴に注目する。この結果,分析したCLIL型学習教材では,学習者に様々な認知プロセスの次元を経験させ,認知的な負荷をかけているものの,言語的にはあまり負荷をかけていないことがわかった。また,学習者の自己や他者への理解,地域や文化への理解を深めるようには作成されていないことがわかった。今後,CLIL型教材の開発に当たっては,CommunicationとCultureのレベルを高める工夫が必要となる。さらに教師用マニュアルにおいてはCultureを充実させるための工夫を補完することが望まれる。
- 2012-00-00
著者
関連論文
- 英語基礎レベル学生を自律した学習者に育てる大学英語授業実践
- 大学英語授業におけるCan-doリストの効果
- The Effects of Trained Self-feedback on Revision
- 国立音楽大学で効果的に英語指導をするために
- 国立音楽大学における「英語コミュニケーション」授業実践
- ライティングの書き直しにおけるSelf-Feedback指導の効果(英語教育の到達目標-その基準を求めて-)
- 日本人大学生を対象とした英語ライティング指導におけるピア・フィードバックの有効性
- 日本人英語教師とネイティブ英語教師のライティング評価の相違
- ライティング相互評価における評価者の記名・無記名の比較
- 大学英語ディスカッション授業におけるディスコース・コミュニティーの成立
- 批判的思考力を伸ばす
- 英語コミュニカティブ・ライティング授業の考察
- 新英語教育 : 自律学習を目指して
- 反省的教育実践による大学英語授業
- 国立音楽大学生の英語学習意識
- 英語の授業における自己表現能力育成の工夫と実践
- 英語を専攻しない学生のための英語コミュニケーション指導
- 英作文におけるセルフ・コレクションの効果
- 英語学習意欲を喚起する授業の工夫と教材
- 大学英語授業の到達目標としてのCan-doリスト
- ピア・フィードバックにおける評価者の記名・無記名の比較
- 英語到達目標としてのCan-doリスト開発への試み
- 共通カリキュラム到達目標としてのCan-doリスト開発と実施の試み--2年目の実践
- CLIL型学習(内容言語統合型学習)とは何か
- CLIL(内容言語統合)型学習英語教材と教師用マニュアルの評価
- 大学生の英語学習の意識格差についての研究(日本英語教育の階層化研究)
- 「リメディアル教育」という言葉の妥当性 : よりよい教育のために-わかりやすい言葉を
- 教員の連携が大学英語リメディアル教育に与える効果
- 英語熟達度格差のある大学の学生の実像と課題(研究論文)