頭蓋内脳主幹動脈狭窄症に対する血管内治療(<特集>閉塞性脳血管障害における新たな展開)

概要

論文の詳細を見る
目的:自験例の解析と文献的考察をもとに頭蓋内脳主幹動脈狭窄症に対する血管内治療の適応と有効性について考察する.対象と方法:当科にて血管内治療を行った56例を対象とした.70%以上の高度狭窄を基本的な適応としたが,硬膜内病変は症候性病変を,硬膜外病変は無症候性病変も治療対象とした.結果:手技の成功率は高く(98.2%),全体の93%では良好な転帰が得られていた.また,本治療による永久後遺症または死亡は4例(7.0%)に生じ,穿通枝の閉塞と血栓性・出血性合併症が原因であった.考察と結語:症候性高度狭窄例は薬剤治療を行っても年間10%以上に虚血イベントを発症すると報告され,頭蓋内ステント留置術の効果が期待されてきた.しかし,ランダム化比較試験(SAMMPRIS trial)では積極的内科治療よりもステント群におけるイベント率が高かった.このため今後は積極的内科治療を標準として,その抵抗例に血管内治療を考慮すべきであると考えられた.また合併症を減らすためには穿通枝近傍の病変を避け,周術期に適切な抗血栓療法を行うことが重要と考えられた.
2012-05-20