MERCIリトリーバーを用いた急性脳動脈再開通療法―我が国における初期周術期成績― : -我が国における初期周術期成績-
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
【目的】MERCIリトリーバーを用いた機械的急性脳動脈再開通療法(mechanical thrombectomy)を我が国で安全に展開するため,本治療に導入初期から積極的に取り組んだ施設の周術期の治療結果を調査し報告した.【方法】2011年2月までに本治療を4例以上経験した19施設のうち15施設から報告を受けた119例の経験をまとめた.これはこの間の本邦における経験症例の42.0%,対象施設の経験数の88.1%に相当した.【結果】 平均年齢71.0歳,男性80(67.2%),閉塞血管は,内頚動脈40.3%,中大脳動脈49.5%,椎骨脳底動脈9.2%で,平均入院時NIHSSは18.1,rt-PA静注療法先行42.0%,発症から穿刺までの平均時間は340.3分,他の血管内治療手技の併用は56.7%である.再開通はTICI Grade 2A以上が74.6%,2B以上が48.3%,AOL 2以上が77.8%,3以上が38.4%,くも膜下出血は21.9%に生じたが症候性は3.5%に,脳内出血は31.6%に生じたが,症候性は2.6%に留まった.術後30日または退院時転帰(mRS)は,0~1が15.5%,0~2が28.2%,5~6が31.8%で,死亡率は10.9%であった.【結論】MERCIリトリーバー導入初期の国内主要施設の術後30日または退院時の初期成績は,転帰良好(mRS 0~2)が28.2%,死亡率10.9%,症候性頭蓋内出血2.6%であった.90日後の転帰をもとに,これまでの報告と比較する必要があるが,mechanical thrombectomyの導入初期成績は比較的良好である.
著者
-
吉村 紳一
岐阜大学大学院医学系研究科脳神経外科学分野
-
今村 博敏
神戸市立医療センター中央市民病院 脳神経外科
-
木村 和美
川崎医科大学神経内科脳卒中部門
-
江面 正幸
仙台医療センター脳神経外科
-
坂井 信幸
神戸市立医療センター中央市民病院
-
中原 一郎
社会保険小倉記念病院 脳神経外科
-
大田 慎三
脳神経センター大田記念病院脳神経外科
-
早川 幹人
虎の門病院 神経内科
-
豊田 真吾
大阪脳神経外科病院 脳神経外科
-
西野 和彦
新潟市民病院 脳神経外科
-
植田 敏浩
聖マリアンナ医科大学東横病院
-
長畑 守雄
山形市立病院済生館 脳神経外科
-
山崎 信吾
土浦協同病院 脳神経外科
-
松本 康史
広南病院 血管内脳神経外科
-
山上 宏
神戸市立医療センター中央市民病院 脳神経外科/脳卒中センター
-
恩田 敏之
札幌白石脳神経外科病院 脳血管内治療センター
-
豊田 真吾
大阪脳神経外科病院 脳神経外科/脳血管内治療センター
-
山崎 弘幸
翠清会梶川病院 脳神経外科
-
植田 敏浩
聖マリアンナ医科大学東横病院 脳卒中センター脳卒中科
-
吉村 紳一
岐阜大学大学院医学系研究科 脳神経外科学分野
-
坂井 信幸
神戸市立医療センター中央市民病院 脳神経外科/脳卒中センター
-
江面 正幸
仙台医療センター 脳神経外科
-
長畑 守雄
山形市立病院済生館 脳神経外科
-
今村 博敏
神戸市立医療センター中央市民病院 脳神経外科/脳卒中センター
-
早川 幹人
虎の門病院 脳神経血管内治療科
-
中原 一郎
社会保険小倉記念病院 脳神経外科
-
大田 慎三
脳神経センター大田記念病院 脳神経外科
-
山崎 信吾
土浦協同病院 脳神経外科
-
木村 和美
川崎医科大学付属病院 脳卒中医学
関連論文
- e-Learningを学会専門医取得・更新にどう使うか?(脳神経外科医の生涯教育)
- 2.頸動脈病変(動脈閉塞症に対する手術vs血管内治療:治療成績からみた選択基準)
- 5.CASにおける合併症回避のポイント(ES1 ビデオで学ぶ合併症回避のポイントI(脳血管障害編),プレコングレスイブニング教育セミナー,手術再考,第30回日本脳神経外科コングレス総会)
- 頭蓋咽頭腫の経頭蓋アプローチ(間脳下垂体腫瘍の治療)
- 特集にあたって(内頚動脈狭窄症)
- 1.急性脳血管閉塞に対する再開通療法update(PS2-3 閉塞性脳血管障害の病態と最善の治療,プレナリーセッション,手術再考,第30回日本脳神経外科コングレス総会)
- 視床下核刺激療法(STN-DBS)に合併した精神症状が出現, 悪化し, コントロールが困難であった1例
- P2-20 当院におけるてんかん手術症例の検討(外科治療7,一般演題(ポスター),てんかん制圧:新たなステージに向けて,第41回日本てんかん学会)
- 特集にあたって
- Off-the-job training としての脳卒中初期診療(ISLS)コース開催の経験
- 塞栓性脳底動脈閉塞によりたこつぼ型心筋症を呈した1例
- 特集にあたって(脳動脈瘤治療のトピックス)
- 脳血管障害の臨床最前線 : 血管内治療の進歩
- 荒木千里記念脳外科症例検討研究会記録(265)多発性脳病変で見つかったノカルジア脳腫瘍の1例
- 脳動静脈奇形 Liniac radiosurgery(X-Knife)を用いた脳動静脈奇形に対する定位放射線治療 (インターベンション時代の脳卒中学(改訂第2版)(下)超急性期から再発予防まで) -- (脳血管奇形)
- 母児ともに救命できた脳動静脈奇形破綻の1例
- rt-PA静注療法施行症例におけるスタチンの頭蓋内出血および転帰におよぼす影響 : Stroke Acute Management with Urgent Risk-factor Assessment and Improvement (SAMURAI) rt-PA Registry
- CEA・CASの周術期における経頭蓋超音波検査
- Posterior interhemispheric approach(occipital transtentorial approach:OTA)(手術アプローチの選択とピットフォールII-第24回微小脳神経外科解剖セミナーより-)
- 脊髄損傷症例における apparent diffusion coefficient (ADC) 値測定の有用性 : 重症度との相関と予後予測
- 脳動静脈奇形摘出術の基本戦略
- 破裂脳動脈瘤におけるEBMの解釈と治療選択(脳血管障害におけるEBM)
- 4.膠芽腫に随伴するてんかんの検討(第34回岐阜エピレプシー研究会)
- 脳血管ステント留置術 (特集 脳血管障害の外科--最近の進歩) -- (脳梗塞の予防)
- 荒木千里記念脳外科症例検討研究会記録(231)脳血管内手術で治療した内頸動脈前壁動脈瘤の一例
- 10 脊髄動静脈シャントの治療経験(3.一般演題III,第40回中部脊髄外科ワークショップ演題抄録,研究会報告)
- e-Learning を学会専門医取得・更新にどう使うか?
- T2*強調画像で経時変化を観察した緩徐進行性の延髄出血の1例
- Transcranial Doppler が診断の一助となった血行力学的機序による脳梗塞の1例
- くも膜下出血を契機に診断された脳アミロイドアンギオパチーの1例
- 急性期脳卒中の超早期受け入れ体制を如何に構築するか
- 3. 破裂動脈瘤における治療選択の実際(ES1-2 脳血管障害におけるEBMの的確な解釈と実践上の要点,イブニング教育セミナー,脳神経外科の夢と志,第28回日本脳神経外科コングレス総会)
- 安全,確実な脳動脈瘤手術の手順と工夫 : 動脈瘤手術の最終段階におけるdome punctureの役割(難しい脳動脈瘤の手術の問題点と工夫)
- 2. Interhemispheric approach の長所と短所(MS2-1 前交通動脈瘤手術の基本, 第27回 日本脳神経外科コングレス総会)
- 高齢者重症くも股下出血に対する急性期脳血管内手術の治療成績(高齢者重症くも膜下出血の急性期治療)
- 1.頚椎前方固定術後に喉頭浮腫をきたした1例(一般演題I,第34回 中部脊髄外科ワークショップ,研究会ニュース)
- 15.Perfusion CTを利用したレンズ核線状体動脈領域における進行性梗塞の予測(第49回岐阜臨床神経集談会)
- 急性期脳卒中患者受け入れ体制に関する全国病院実態調査研究 (J. TEAMs study)
- rt-PA静注療法後に口舌血管性浮腫を呈したACE阻害薬服用中の心原性脳塞栓症の1例
- 左頭頂葉梗塞により書字障害を呈した1例
- Transcranial Doppler を用いた脳血管狭窄・閉塞診断
- 経頭蓋超音波ドプラ検査の臨床応用(非侵襲検査の最前線)
- 84 分岐血管を温存するため意図的部分塞栓療法を施行した急性期破裂脳動脈瘤の2例(北日本脳神経外科連合会第27回学術集会)
- 頚動脈ステント留置術と抗血小板療法
- 頸動脈ステント留置術における超音波と他の検査法の役割
- わが国における硬膜動静脈瘻の治療の現状(脳脊髄動静脈奇形の診断・治療の進歩)
- 特集にあたって(脳脊髄動静脈奇形の診断・治療の進歩)
- 頭蓋咽頭腫の経頭蓋アプローチ
- クモ膜下出血の治療 (脳卒中のすべて) -- (脳卒中の治療)
- 急性期脳梗塞の洞調律患者における左房径拡大と発作性心房細動の検討
- 頸部内頸動脈狭窄の血管内治療 (特集 ガイドライン時代の脳卒中の治療--ガイドライン利用の意義とその適応の限界)
- t-PA静注療法中に頸部血管超音波検査で内頸動脈閉塞の再開通現象を観察しえた脳梗塞の1例
- 症候性頭蓋内動脈狭窄病変の血管内治療の現状 (特集2・症候性頭蓋内動脈狭窄病変の新しい治療法--新たなエビデンスにもとづくシロスタゾールの有用性)
- 頸動脈狭窄の治療--頸動脈ステント留置術(carotid artery stenting:CAS) (インターベンション時代の脳卒中学(改訂第2版)(下)超急性期から再発予防まで) -- (頸動脈狭窄)
- 頸動脈狭窄症に対する血行再建術 (特集 ブレインアタック時代の「脳卒中」診療) -- (急性期病院における診断・治療--脳梗塞を中心に)
- 頸動脈狭窄症に対する血管内治療 (特集 脳神経血管内治療の現況)
- 臨床 頸動脈病変の血管内治療
- 脳梗塞急性期の診断と治療
- 超急性期脳梗塞に対するrt-PA静注療法
- 2. E-learningを学会専門医取得・更新にどう使うか(PS1-4 脳神経外科医の生涯教育,プレナリーセッション,テクノロジーの進歩と脳神経外科の未来,第29回日本脳神経外科コングレス総会)
- 1.脳血管内治療 : 脳動脈瘤(LS-13 脳血管内治療の現状と今後,ランチョンセミナー,第26回 日本脳神経外科コングレス総会)
- マイクロエンボリックシグナル
- 脳梗塞急性期医療の現状と今後の展望
- マイクロ エンボリック シグナル
- 血管病に関する最新の話題 頸動脈ステントの保険認可
- ASPECTS-DWIにおける領域別早期虚血変化とrt-PA静注療法後の脳梗塞患者の転帰
- 頸動脈内膜剥離術症例に対する頸部エコーの有用性
- rt-PA治療における超音波併用療法の意義と現状
- t-PA静注療法において, 右左シャントの存在は著効例と関連する
- 病態
- 求められる脳卒中の病院前体制
- t-PA投与前のDWI所見にて, 患者の転帰不良例を予測できる
- 頸部血管エコー検査の有用性について
- 国内多施設共同登録研究 Stroke Acute Management with Urgent Risk-factor Assessment and Improvement (SAMURAI) rt-PA Registry : 全体成績とサブ研究の紹介
- Stroke Mobile Telemedicine による脳卒中急性期医療
- 経静脈的血栓溶解療法中の経頭蓋超音波検査をもちいた連続モニタリング
- 2. 脳動脈再開通療法の現状と今後(PS1-1 閉塞性脳血管障害における新たな展開,プレナリーセッション,脳神経外科医のProfessional SpiritとResearch Mind,第31回日本脳神経外科コングレス総会)
- 脳底動脈急性閉塞症に対する積極的血管内再開通療法 : その治療成績と予後因子の検討
- 5. 頭蓋内脳主幹動脈狭窄症に対する血管内治療(PS1-1 閉塞性脳血管障害における新たな展開,プレナリーセッション,脳神経外科医のProfessional SpiritとResearch Mind,第31回日本脳神経外科コングレス総会)
- TIAの臨床像と診断
- 倉敷プレホスピタルストロークスケール(KPSS)
- Posterior interhemispheric approach (occipital transtentorial approach: OTA)(Microneurosurgical Anatomy)
- XperCT ガイドによる脳神経外科手術
- 6. 動脈瘤コイリングのアドバンスト手技(ES2 ステップアップの手術手技,プレコングレス イブニング教育セミナー,脳神経外科学の課題,第32回日本脳神経外科コングレス総会)
- 4. 急性期外科治療と血栓回収機器(PS3-2 虚血性疾患の課題と展望,プレナリーセッション,脳神経外科学の課題,第32回日本脳神経外科コングレス総会)
- 特集にあたって(脳動脈瘤に対する新たな考え方)
- 頭蓋内脳主幹動脈狭窄症に対する血管内治療(閉塞性脳血管障害における新たな展開)
- 脳動脈瘤コイル塞栓術における First Coil の径を指標とした自動計測値の有用性
- 血管内治療による脳動脈再開通療法の現状と今後(閉塞性脳血管障害における新たな展開)
- 妊娠39週に脳梗塞を発症し血栓溶解療法を行った1例
- 脳動脈瘤内塞栓術の長期成績
- MERCIリトリーバーを用いた急性脳動脈再開通療法―我が国における初期周術期成績― : -我が国における初期周術期成績-
- 頭蓋内脳主幹動脈狭窄症に対する血管内治療
- 血管内治療による脳動脈再開通療法の現状と今後
- ステントアシスト法を用いた未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術後における 3D-fusion 画像の有用性
- 動脈瘤コイリングのアドバンスト手技
- 脳動脈瘤コイル塞栓術においてアシスト法を選択する有効な因子についての検討
- 中枢神経損傷後の海馬内 neurogenesis 活性化機構の解析
- 未破裂脳動脈瘤クリッピング術中に三叉迷走神経反射による心停止をきたした2例
- 脳動静脈奇形に対する血管内治療の役割