下顎切歯部の叢生と側方歯群萌出後の移動様相との関係について
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概要
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小学生児童の歯列弓成長変化の観察から,側方歯群の萌出後の移動様相が下顎切歯部叢生にどのような影響を与えているか調査した.資料は,小学生児童(81名)から,条件を満たす43名の1年生から6年生まで1年に1度,計6回にわたって採得した上下顎歯列模型である.1年生時の下顎切歯irregularity indexを計測し,6年生時の同部が減少したものを叢生改善群(以下,改善群)27名,増加したものを叢生増悪群(以下,増悪群)16名に分類した.接触型三次元形状測定装置にて,左右側犬歯(乳犬歯)咬頭頂,左右側第一および第二小臼歯頬側咬頭頂,ならびに左右側第一大臼歯近心頬側咬頭頂の座標値を求めた.また,上下顎の側方歯群および第一大臼歯の歯列幅径を計測し,改善群と増悪群を比較検討し,以下の結果を得た.1.改善群では,乳臼歯脱落以降の第一大臼歯および第二小臼歯が近心移動する時期に歯列幅径の増大がみられ,6年生時における犬歯,第一小臼歯,第二小臼歯および第一大臼歯は増悪群に比べ有意に頬側に移動し,犬歯および第一小臼歯では有意な遠心移動が認められた.2.6年生時において,改善群の犬歯間幅径,第一小臼歯間幅径,第二小臼歯間幅径および第一大臼歯開幅径は増悪群に比べ有意に大きかった.特に第一大臼歯間幅径においては3年生時以降の改善群は増悪群に比べ有意に大きかった.3.両群のleeway space量,乳犬歯および第一乳臼歯の脱落時期,ならびに側方歯の萌出時期および萌出順序に差は認められなかった.以上のことから,1年生時の下顎切歯部叢生が6年生時で改善するためには,犬歯および第一小臼歯の連動した頬側および遠心への移動が重要であり,それらの遠心移動を可能にさせるスペースの獲得には側方歯群交換期に側方歯群および第一大臼歯の歯列幅径の生理的増大が必要であることがが示された.
- 2011-06-25
著者
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葛西 一貴
日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座
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葛西 一貴
日本大学大学院松戸歯学研究科 歯科矯正学専攻
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葛西 一貴
日本大学松戸歯学部矯正学教室
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林 亮助
日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座
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斎藤 勝彦
日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座
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葛西 理恵
日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座
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葛西 一貴
日本大学松戸歯学部歯科矯正学教室
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