経年歯列模型による永久歯列完成時の叢生量の予測について
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概要
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小学校1年生から6年生までの歯列弓の経年的成長変化の観察から,叢生の発生メカニズムを解明し,混合歯列期から永久歯列完成時における下顎叢生量の予測の可能性を検討した.資料は小学生児童50名の下顎経年歯列模型である.各学年における歯列弓幅径,歯列弓長径,第一大臼歯頬舌的歯軸傾斜角(以下,歯軸傾斜角)および6年生(永久歯列完成時)の叢生量(ALD)を計測した.6年生のALDから正常歯列群(ALD≧-2.0mm)と叢生歯列群(ALD≦-2.5mm)に分類し比較検討した.また,重回帰分析により叢生量の予測について検討した.その結果,次のような結果を得た.1.2年生以降の叢生歯列群では歯列弓幅径と歯軸傾斜角年間変化量が有意に小さかった.また,歯冠幅径およびdef歯率について正常歯列群と叢生歯列群とを比較したところ,すべての項目で有意差はみられなかった.2.永久歯列完成時における主成分分析の結果,第一主成分(46.9%)は歯列弓幅径の因子,第二主成分(15.9%)は叢生量と歯軸傾斜角変化量の因子,第三主成分(14.9%)は歯列弓長径の因子であった.3.永久歯列完成時の叢生量を目的変数に,各計測値とぞれぞれの年間変化量を説明変数とし,重回帰分析を行った結果,4年生の計測値および3年生と4年生の年間変化量を用いた下記の回帰式は重相関係数0.80を示した.叢生量=-0.44(歯軸傾斜角年間変化量)-0.49(第一大臼歯間幅径)+1.31(第一大臼歯間幅径年間変化量)+24.78以上の結果より,叢生歯列群の特徴は歯列弓幅径が狭く,第一大臼歯は舌側に傾斜していた.正常歯列群および叢生歯列群における歯列弓幅径と歯軸傾斜角年間変化量に差がみられる起点は,2年生であった.また,歯のサイズが標準的で乳歯が健全である混合歯列では,4年生の計測値および3年生と4年生の年間変化量を用いた回帰式によって,永久歯列完成時の叢生量がある程度予測可能であることが示された.
- 2010-02-25
著者
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葛西 一貴
日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座
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葛西 一貴
日本大学大学院松戸歯学研究科 歯科矯正学専攻
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葛西 一貴
日本大学松戸歯学部矯正学教室
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Kasai Kazutaka
日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座
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林 亮助
日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座
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斎藤 勝彦
日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座
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葛西 理恵
日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座
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葛西 一貴
日本大学松戸歯学部歯科矯正学教室
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