現在歯数別にみた喪失歯数の推計 : 歯科疾患実態調査を用いた解析

概要

論文の詳細を見る
現在歯数が少なくなるほど咀嚼や補綴のために残存歯への負担が高まり,喪失するリスクは高くなると考えられる.そこで本研究は,過去2回の歯科疾患実態調査を用いて現在歯数別にみた喪失歯数を推計することを目的とした.平成11年歯科疾患実態調査(55〜64歳,1,122名)と平成17年調査(61〜70歳,950名)の対象者をgeneration cohort(世代コホート)データと捉えて,6年間の喪失歯数を平成11年度の現在歯数別に推計した.現在歯数別にみた喪失歯数の求め方は,平成11年歯科疾患実態調査の現在歯数の1〜100のパーセンタイル値から平成17年での同じパーセンタイル値を引いて,各パーセンタイルの喪失歯数を求めた.さらにその結果を用いて,55〜64歳時点(平成11年度)の現在歯数別にみた6年間の喪失歯数を推計した.その結果,現在歯数が14〜16歯の者で喪失歯数の推計値が最大値となる凸型の分布を示した.すなわち,現在歯数が32歯から14〜16歯までの者は,14〜16歯に近づくほど喪失歯数の推計値は増加するが,現在歯数が14〜16歯未満の場合は,現在歯数が少ないほど減少することを示した.現在歯数別にみた喪失率は,現在歯数が少ないほど高くなっていた.
2009-07-30