播磨灘および北部広島湾の海底泥中における珪藻類の休眠細胞の分布
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概要
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播磨灘および北部広島湾の海底泥中における珪藻類の休眠細胞の分布を,終点希釈法(MPN法)によって調べた.1988年4月の播磨灘では,Skeletonema costatumの休眠細胞は表面から3cm深までの海底泥1cm^3あたり2.14×10^2-1.76×10^5(平均2.86×10^4),Chaetoceros spp.は1.53×10^2-2.96×10^5(平均2.82×10^4),およびThalassiosira spp.は9.50×10^1-1.01×10^5(平均1.60×10^4)の密度で存在した.これら3つの分類群の和に対して占めるS.costatumの割合は,北部沿岸域および家島諸島〜淡路島を結ぶ水域で高く,灘の南部水域で低かった.一方Chaetoceros spp.の割合は,これと逆の分布パターンを示した.北部広島湾の海底泥(表面から1cm深まで)における1987年4月のS.costatum休眠細胞の分布は,0.39-2.03×10^5/cm^3(平均1.29×10^5)であった.1989年3月ではS.costatumは0.41-6.78×10^5/cm^3(平均2.99×10^5),Chaetoceros spp.は0.94-9.24×10^4/cm^3(平均3.24×10^4),Thalassiosira spp.は0.28-6.06×10^4/cm^3(平均2.87×10^4)の値を示し,S.costatumが著しく卓越していた.海底泥中には形態的に栄養細胞と酷似するS.costatumの休眠細胞が観察された.さらに,S.costatum,Chaetoceros spp.,Thalassiosira spp.,およびLeptocylindrus spp.の休眠細胞は,冷暗所(11℃)で少なくとも約3年間生存できることが確認された.
- 日本海洋学会の論文
- 1990-08-31
著者
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